『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“FiNC、ヘルスケア・ニュースキュレーションアプリ『WellnessPost』発表イベント開催”
3月2日に開催された、FiNCとフィットネスオンラインを運営するクラブビジネスジャパンが共同で提供する、スマホ向けキュレーションアプリ『WellnessPost(ウェルネスポスト)』リリース記念イベント“ヘルスケア産業の未来 ~日本の課題とイノベーション~”に行ってきました。
冒頭、古屋氏から「ヘルスケア業界はあまりイノベーションが起きていない。アプリ『WellnessPost』で、刺激になるように質の高い情報を出していきたい」とありました。今回のテーマは“ヘルスケアにおけるイノベーション”、壇上にはヘルスケアサービスを提供、研究する人々が多く登場しましたので、それぞれのコメントからポイントを絞って紹介します。
パネルディスカッション1「日本のヘルスケアの課題」
コーディネーター:古屋武範氏(クラブビジネスジャパン代表取締役)
パネリスト:宜保陽子氏(Noom Japan代表)、増本岳氏(カーブスジャパン代表取締役会長兼CEO)、溝口勇児氏(FiNC代表取締役)
Q:10~20年後はどうなっているか?
溝口氏「デバイスに生体情報が無意識に蓄積され、データを手軽に取得していけるようになる。収益はデータを活用したソリューション。今後はプライベートコンシェルジュが付くようになる。データを見て、家にも足りないものが届くようになる」
「今後、医療費高騰、人口縮小になっていった時、伸びるものとしてヘルスケアが挙げられる。世界では日本の健康効果が安心、安全、信頼がある。次なるトヨタはヘルスケアから生まれるのではないか」
増本氏「その時は団塊の世代が70~80代になる。高齢化を乗り越えた国が作れるか? 日本は課題先進国だ。医療費など自己負担が益々高まるだろう。今後は予防が需要に。当たり前になっている生活習慣が変えられるかがポイントになる」
「“べき論”ではビジネスはできない。“7:3の法則”がある。7割は運動しない。やっていても改善に繋がらない散歩程度にとどまる。行政も悩んでいる。イベントをしても来る人はいつも一緒。参加者の9割は普段からウォーキングしている人。顧客は何がしたいのか? なさそうに見える需要を作る必要がある。何に悩んで、何なら動くのか、マーケティング力が大切になる」
宜保氏「テクノロジーが最強のエンゲージメントツールになる。ヘルスケア供給者が遠隔、バーチャルで供給できる時代になる。病院に行かなくともサービスが受けられる時代になっていく。日本は医者不足なので、テクノロジーで解決できるのではないか」
パネルディスカッション2「データヘルスの現状」
コーディネーター:吉澤美弥子氏(HealthTechNews編集長)
パネリスト:木村大地氏(リンケージ代表取締役)、山本雄士氏(ミナケア代表取締役)、石川善樹氏(Campus for H)
Q:医療データ活用の今後はどうなるか?
木村氏「健診データを見た後どうするか? データの活用しようと思わない。問題点を見つけて、改善に向けることが必要になる」
山本氏「医療領域は規制もあり、参入は厳しいが、今までやりたかったことができるようになってきている。私は“健康を売ろう”としてもダメだと思っている。健診でひっかかっても、薬を飲もうとしない。そして悪くなって運ばれる人が多い。こりからは、本人が気づかない間にケアする。街づくり、社会づくりが必要になる」
石川氏「今は運動すると健康に良い、と言われる。しかし100年前は体に悪いと思われた。データを組み合せると意外なことがわかり、予測できるようになる。今では朝型か夜型かは遺伝子でわかるようになった。その人に合わせて危ないタイミングがわかると予測できるようになる。イノベーションのタネをみつけることが大切になる」
「環境が悪いなかでも、稀に体調が良い人がいる。その人を調べると、他の人とちょっとした違いがある。それがその地域での健康貢献ポイントになる。そのポイントを学び、ヒントを得ていく」
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今回はイベントでのコメントから、ほんの一部をご紹介しました。いかがだったでしょうか?
その他にも、石川氏が今までの研究結果から面白いことを話されていました。「研究的には人の行動を変えるのために必要なテクニックが96分類あり、もっとも効果的なのは“行動のモニタリング”であることがわかった。ただし、“行動のモニタリング”が続かないのです(苦笑)」
人を動かす、そして継続させることが、モバイルヘルスでも重要であり、これを達成できる提案をできる者が勝者になることを、改めて確認できる場となりました。
このアプリからヒントを得て、どのようなイノベーションが起こるのか、今後の動向を見ていきたいです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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