『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“健康コーポレーション・ライザップとソフトバンク、IT・通信およびヘルスケア領域で協業”
健康コーポレーション株式会社及び当社子会社であるRIZAP株式会社(以下、RIZAP)は、ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)と、IT・通信およびヘルスケア領域を中心とする分野において新たなビジネスモデルを創造する協業体制を構築することについて合意しましたのでお知らせします。
1.背景
当社は、「どろあわわ」、「エステナード」、「ひとてまい」など、美容・健康に関する多くのヒット商品を開発・販売してまいりました。また、パーソナルトレーニングジムを運営するRIZAPでは、4.1万人を超えるお客様に、「人生最高の体と自信」を提供するサービスを実施しております。
本合意は、RIZAPが持つ運動指導・栄養指導などのノウハウおよび当社が有するマーケティング力とソフトバンクのIT・通信技術とを組み合わせることで、より人々の健康増進に貢献していくことを目的に締結しました。今後は3社それぞれが展開する事業を活用した「ヘルスケア・プラットフォーム」を開発し、これをベースにさまざまなヘルスケアサービスを提供していきます。
2.内容
以下の3つのサービス開始を予定しております。
(1)IT・通信技術を活用し遠隔でも受けられるRIZAPのサービス
ソフトバンクのIT・通信技術を用いた企業向け情報プラットフォームサービスと、RIZAPの指導ノウハウやお客さまとのリアルな接点とを組み合わせ、遠隔地においてもRIZAPのサービスを気軽に受けることができるサービスを共同で開発し、来春を目処にリリースを行う予定です。本サービスはデジタルなITとアナログなリアル接点を組み合わせたものであり、どちらかだけでは実現できない「ヘルスケア領域におけるオムニチャネルサービス」というべき新しいビジネスモデルとなる予定です。
(2)ヘルスケア関連デバイスの共同開発と活用
ソフトバンクは早くからヘルスケア領域に着目し、スマートフォンと連動した体組成計やウエアラブル活動計などのデバイスを用いたサービスを提供しています。この実績をもとにRIZAPと共同でヘルスケアデバイスを開発しお客さまへの利用を促進し、より結果にコミットできるRIZAPのサービスを実現します。
(3)ヘルスケアビッグデータの解析・活用
RIZAPの詳細なヘルスケアビッグデータと、ソフトバンクの企業向け情報プラットフォームを活用し、社会的に求められている健康問題の解消に貢献するための研究に取り組みます。さらに、人々の「健康」をテーマに取り組む企業との連携をオープンに進め、健康維持と現代病予防を目指し効果的な健康増進につながる新しいヘルスケア・プラットフォームを開発します。
プレスリリースはこちら(NIKKEI 2015年11月16日発表)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回の注目ニュースは、ライザップとソフトバンクの協業のニュースです。
協業では、3社の強みを活かして新たな3つのサービスの展開を予定しているとのこと。
(1)IT・通信技術を活用し遠隔でも受けられるRIZAPのサービス
(2)ヘルスケア関連デバイスの共同開発と活用
(3)ヘルスケアビッグデータの解析・活用
上記の3つのサービスのなかで、私が特に注目したいのが、(1)IT・通信技術を活用し遠隔でも受けられるRIZAPのサービスです。
すでに4.1万人を超えるユーザーに提供しているRIZAPのサービスですが、現在の提供スタイルでは、リアルな「場」を起点としたサービス提供になっているため、「エリア」が限定されてしまう、という課題は当然ありました。今回のソフトバンクのIT・通信技術と組み合わせることで、エリアを超えた遠隔でのサービス提供が実現するのです。
RIZAPのサービスは、パーソナルトレーニングジムでの直接運動指導・栄養指導で指導する「人」の介入が特長であり、ノウハウでもあったと感じています。今回のニュースリリースで、新サービスについて「気軽に受けることができるサービス」という表現をしているので、現在のRIZAPのサービスのそのままの遠隔サービス版ではなく、もう少し「ライト」な感じの「指導」サービスになるのではないかと感じています。
Webの世界で成立していたサービスが、リアルを組み合わせていくケースの場合には提供サービスの付加価値が高まるイメージが強いのですが、リアルなサービスからWebの世界に広げていくパターンでは、どうしてもサービスが薄まっていくイメージが強い感じがしてしまいます。
もともとRIZAPのサービスは、リアルな人がきめ細やかにサポート、寄り添ってくくれて結果にコミットメントしてくれるのが特長でした。今回の遠隔サービスでは、どこまで現在のRIZAPの特長を活かして、どこを遠隔ならではのサービスにしていくのかが非常に気になる部分です。IT・通信技術に頼り過ぎて、サービスが薄まっていく方向にならないことを期待したいところです。
また、今回ソフトバンクのIT・通信技術と組み合わせることで遠隔での指導が展開可能になってくるのですが、これまでのリアルな現場と遠隔での指導では、少し違ったスキル、対応が必要になってくることが考えられます。
ウェブの世界でのコミュニケーション、リレーションについて、これまでの現場のノウハウの焼き直しでは通用しない部分をどのようにIT・通信技術と「人」の組み合わせて対応していくのか、RIZAPの遠隔でも受けられるサービスの今後に注目していきたいと思います。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。食コンディショニングアドバイザー。
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