『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“ニューバランスはアスリートのパフォーマンス向上のための デジタル部門を新設し、2016年にスマートウォッチを発表”
世界的なアスレチックブランドであるニューバランスはラスベガスで開催中のCES 2016においてアスレチックパフォーマンス向上を望む消費者とテクノロジーを通じてつながるための新たな部門を創設したことを発表しました。
それは「ニューバランスデジタルスポーツ」です。「ニューバランスデジタルスポーツ」は、デジタル体験とウエアラブルテクノロジーを通してアスリートの生活を理解し、やる気を起こさせ、パフォーマンスを向上させることを目的としています。
まずは、初のコンシューマー向けのプロダクトとして、2016年のホリデイシーズンにスマートウォッチを発売予定です。
ニューバランスの社長兼CEOロブ・ディマルティーニは「ニューバランスは110年にわたりランニングカテゴリーにおける革新、商品開発を続けて来ました。
そして、我々の新しいデジタルスポーツ部門では、我々が世界中のアスリートやランナーが彼らの驚異的な肉体的能力への追及に投資することへの約束を意味しています。デジタルテクノロジーはあっという間にスポーツ産業に革命をもたらしました。ニューバランスはアスリートがトップパフォーマンスに到達することをサポートする革新的な商品とともに最前線のブランドであり続けていきたいと思います。」と言っています。
「ニューバランスデジタルスポーツ」は、身体的なパフォーマンスを向上させるために設計された革新的なウエアラブルテクノロジープロダクトを特徴とする包括的なアスリートフォーカスのデジタルエコシステムを開発していきます。
スマートテクノロジー、デジタル、ハードウエアとソフトウエアをリードするインテル、グーグル、ストラバ、ゼップといった企業をパートナーとして、あらゆるスポーツのシューズやアパレルに最適化したウエアラブルプロダクトにスマートテクノロジーを取り入れていきます。
プレスリリースはこちら(株式会社 ニューバランス ジャパン 2016年1月7日発表)
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『mHealth Watch』の視点!
今回の注目ニュースは、ニューバランスがアスリートのパフォーマンスアップに向けたデジタル部門を新設し、2016年にスマートウォッチをリリースする情報です。
ナイキが「FuelBand」の開発から遠ざかってから久しく月日が経つなか、同じスポーツメーカーであるニューバランスが2016年のクリスマス・シーズンになってようやくスマートウォッチをリリースするというのは、ナイキ「FuelBand」以降のスマートウォッチのリリース状況からみて、少しタイミング的に遅いような気がしてしまいますが、今回のニュースリリースをじっくり見てみると「FuelBand」や単なるウェアラブル機器のアプローチとの違いが見えてきます。
まず1点目の違いとして、アスリートのパフォーマンス向上にフォーカスして、デジタルスポーツ部門を新設し、スマートウォッチ、センサーなどのテクノロジー、そしてパフォーマンススポーツといった全体的に捉えているということです。
そして2点目の違いとして、あくまでも「アスリート」をターゲットにしてパフォーマンスアップにつなげることに応えていく点です。具体的には、スマートウォッチ単体で機能し、スマートフォンを持たずにトレーニングするといったスタイルひとつを見ても、アスリートに応えるためのアプローチを追求している点だと言えます。
そして3点目の違いとしては、「ニューバランスデジタルスポーツ」は、デジタル経験の場も作っていくというアプローチで、具体的には「ニューバランスランクラブ」というコミュニティを活用してオンラインでもオフラインでもランナーをつなげていく活動も仕掛けていく点です。
ナイキの「FuelBand」やFitbitが世界的リードしてきたウェアラブルデバイス市場ですが、他にも多くのウェアラブル機器、スマートウォッチがリリースされてきました。しかし、機器およびアプリを見ただけでは、機能やコンテンツ、電池など細かい部分での差別化要素であって、大きな違いや提供価値を見つけるのが難しい状況に入ってきているのが事実です。
今回の「ニューバランスデジタルスポーツ」では、スマートウォッチはあくまでもアスリートのパフォーマンス向上のためのひとつのツールとして位置付けることで、他の機器との単純な勝負になりにくいことにもなってくると思います。
ウェアラブル機器、スマートウォッチの位置付け、ポジションをサービス全体のなかでどう位置づけるかという視点は、今後これまで以上に重要になってくると感じています。
「ニューバランスデジタルスポーツ」と「スマートウォッチ」の動きは、2016年の注目すべき事例のひとつになってくるのは間違いないと思います。
皆さんも継続してウォッチしていきましょう。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。食コンディショニングアドバイザー。
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