『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“患者さん専用のQ&Aコミュニティサイト『イルイル』を提供開始”
~病気の当事者同士だからこそわかる病気や日常生活のお悩みを解決~
ドコモ・ヘルスケアは、特定の病気をかかえている患者さん同士が、当事者だからわかる悩みを匿名で相談しあったり、情報交換ができる患者さん専用Q&Aコミュニティサイト『イルイル®』を企画・開発し、ウェブサイトおよびスマートフォン・タブレット向けアプリとして本格提供を開始した。
提供背景・目的
病気にかかると治療や症状に関する不安や悩みだけでなく、治療と仕事・家事との両立や、恋愛・結婚・子育てなど、病気を抱えて日常生活を送るうえで起きる様々な悩みが発生します。このような悩みに関し、患者さんへインタビューを実施したところ、「同じ病気の患者同士の体験談や情報交換ができるインターネットの場が不足している」との声を多数頂いたことから、患者さんがより安心して気軽に情報交換ができるサービスを企画・開発しました。
サービス概要
カラダ・病気に悩みを抱えた当事者同士が本ウェブサイトやアプリを通して匿名で相談したり、体験談を共有し合えるサービスです。サービス開始当初は、乳がん・子宮がんや妊活・不妊に関する悩みなど女性特有の5つのカテゴリから提供開始し、順次男女の幅広い病気のカテゴリを追加する予定です。
【提供機能】
1,同じカラダ・病気の悩みがある患者さん同士のお悩み相談(Q&A)
2,患者さんによる治療日記
3,専門医師に監修された病気の基礎情報コンテンツ
プレスリリースはこちら(ドコモ・ヘルスケア株式会社、2017年3月29日発表)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回の注目ニュースは、患者さん専用のQ&Aコミュニティサイトに関してです。
これまで病気を持つ患者さんが病気について情報交換をする際には、特定の病気の患者さんが集う患者会などが一般的でした。そこでは情報交換が中心で、ビジネスという視点、観点は一切なかったのがこれまででした。
しかし、米国には「patientslikeme」といった患者さんの情報交換の場を提供するサービスが存在します。そのサービス自体で収益化、ビジネス展開もすでに2004年からスタートし、我々も常に注目して動向をウォッチしていました。
「patientslikeme」では、病気ごとのコミュニティ、情報交換の場が提供され、患者さん同士無料で情報交換はもちろん、病気の状況や進行、またどんな対策をしているかの記録も患者さん同士で共有できます。そして、患者さんの情報は運営側である「patientslikeme」が分析し、データとして製薬企業や研究機関に販売しています。データの提供を受けた企業は、新薬の開発や治療に活用して、最終的には患者さんの治療に戻して役立てるといった好循環が回っています。
これまで、米国の「patientslikeme」のような患者さん同士のコミュニティプラットフォームに注目をしていた日本の企業もいましたが、やはり米国との規制の違いや収益化の部分などがネックで実現されてきませんでした。
しかし、ようやく日本でもサービス提供がスタートしたことで、患者さん同士の情報共有はもちろん、患者さんの不安解消や最終的には患者さんの情報が患者自身の治療に役立つサイクルが回って拡大していって欲しいと思います。
今回のニュースを見る限りではサービスとしての収益面については特に触れていませんが、やはり継続してサービスを提供していく上では収益化は必須条件です。
規制の問題などクリアすべきポイントはたくさんありますが、やはり患者さんにとって有益なサービスだからこそ持続可能な提供スタイルを作り上げていって欲しいと思います。今回のサービス『イルイル』については継続的にウォッチしていきたいです。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。食コンディショニングアドバイザー。
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