『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「
今回注目したニュースはこちら!
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“『いびき測定アプリ』の臨床研究を開始、井上病院など”
医療機器としての承認取得を目指す
春回会 井上病院(長崎市)は、睡眠中のいびきの状態をスマートフォンで評価できる『いびき測定アプリ』の臨床研究を開始する。国立病院機構福岡病院、NECソリューションイノベータと共同開発したアプリで、治験を経て睡眠時無呼吸症候群(SAS)をスクリーニングする医療機器としての承認取得を目指す。
現在、国内には潜在的に300万人以上のSAS患者がいると推定される。SASの診断では一般に、医療機関を受診し専用機器で睡眠中の呼吸状態を評価する必要があり、これがハードルとなって未診断症例が相当数いると考えられる。そのため、時間や場所を問わず手軽にSASをスクリーニングできるツールが求められているという。
研究グループが開発したいびき測定アプリは、スマートフォンのマイクで睡眠中の音声を記録。記録が終わると自動的にスマートフォンにいびきの測定結果が表示される。スマートフォンが内蔵する加速度センサーを用いて体の向きを測定するため、体位別のいびきの程度も分かるという。システムは福岡病院が発表した技術を基に開発した。
今回はアプリの有用性と安全性を検証するために、総務省平成28年度「IoTサービス創出支援事業」の委託を受けて、医師主導の臨床研究を行う。研究で医学的エビデンスを取得し、その後の治験を経て医療機器としての承認を取得することを目指す。
記事原文はこちら(『日経デジタルヘルス』2018年2月15日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、医療機器としての承認取得を目指す『いびき測定アプリ』に関するニュースです。この『いびき測定アプリ』は、まだまだ臨床研究を開始する段階なのですが、国立病院機構福岡病院とNECソリューションイノベータが共同で開発しました。
現状の睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)の診断では、医療機関を受診して、専用機器で睡眠中の呼吸状態をモニタリングする必要があります。しかし、この専用機器を借りて自宅で装着しデータをモニタリングし、再度受診して医師に診断してもらうことには、大きなハードルとなるため、実際に受診する人はまだまだ少ないと思います。
SASは、家族や周囲の人から「いびき」を指摘されてはじめて可能性を自覚する病気の一つだと思います。しかしSASは、単純に睡眠不足だけに留まらず、高血圧との関連や心疾患との関連性があるとも言われています。そのため、SASはもっと手軽に診断できることが必要になってきています。
今回臨床研究を開始する『いびき測定アプリ』が、既に存在する「いびき」関連のアプリとどの程度違って、どこもまだ診断に役立つレベルなのか不明ですが、スマホアプリでSASの診断に役立つモニタリングが可能になれば、これまで「いびき」は気になるが受診まで至っていなかった人達の受診のきっかけになると思われます。
患者と病院の間にはまだまだ大きなハードルや距離が存在していると思います。そのハードルや距離を埋めるには、アプリなど患者の身近にあるものを活用することが一つの方法だと思います。
医療機器としての承認や医療に役立てる信頼性を得るためには、様々な問題や課題も存在しますが、患者と病院の間を埋める、つなぐためのツールは今後ますます必要になってくると考えています。今回の『いびき測定アプリ』が、SASの受診のきっかけに役立つアプリとして機能するようになっていくことを期待したいです。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、
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