『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“博報堂、湯船に浮かべて風呂上がりの最適なタイミングを知らせる『fuuron』”
博報堂は、利用者の嗜好と体調に合わせてお風呂を出る最適なタイミングを通知するIoTロボット『fuuron(フーロン)』を開発した。
『fuuron』は、湯船に浮かべて使用する。内蔵する温度センサとタイマーセンサが湯の温度と入浴時間を計測し、湯温が高過ぎたり低過ぎると内蔵のLEDが点灯。お風呂を出る時間になると点滅して知らせてくれる。開発には、お風呂研究の第一人者である東京都市大学の早坂信哉教授が監修している。
利用者の嗜好と体調に合わせた複数のモードを搭載している。「美肌モード」を設定した場合、長湯による肌からのセラミド流出などを防ぐ適切な湯温と入浴時間を通知するほか、「花粉症モード」「ダイエットモード」などが利用できる。
また、高齢者を中心とした入浴事故を防ぐための「見守り機能」も備えている。ロボットを長時間湯船に浮かべた状態が続くと、高齢者の異変を認知し、遠隔の近親者のスマートフォンに警告が送信される仕組み。入浴した実際の温度や時間のデータをログとしてスマートフォンで管理でき、毎日の健康管理に役立てることも可能だ。
記事原文はこちら(『CNET Japan』2018年5月17日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
お風呂と健康の関係について、かなり昔から多くの機関で研究が行われています。私も10年前くらいから、何度か関わる機会がありました。
製品化されたものでは、湯船で体重が測れたり、消費カロリーが表示されるなどのわかりやすいものもありますが、メンタル面での効果を見る、例えば、湯船を何℃にして何分入ったことでストレス解消度がどれくらいになるのか?ミストを絡めると効果にどのような変化がでるのかを数値化しようとする取り組みが何度も試されてきました。
しかし、今まで本格的な商品化に至らなかったのは、客観的数値と実感値を一致させるのが難しかったためだと言えます。
今回紹介した『fuuron』は、機能と実感値を一致させるのが難しい「美肌モード」、「花粉症モード」、「ダイエットモード」などが用意されています。特長は固定機能ではなく、IoTロボットであることです。『fuuron』利用者の入浴情報をスマートフォンに蓄積し、毎日の健康管理に役立てられます。
現在の情報では、どう健康管理に活かせるのか、それぞれのモードが自分に合ったものに調整していけるのかはわかりません。クラウドで入浴データを収集していくようなので、そのあたりもこれからの取り組みなのかもしれません。
まずは情報収集できる環境を整えるための第1弾が『fuuron』かもしれませんね。
おそらく開発したチームの中でも、このようなモード設定を言い切ってよいものか、葛藤はあったと思われます。しかし今なら、IoTやAIを使うことで個別感の高い、客観値と実感値の整合を図る取り組みにチャレンジすべきタイミングになったと言えるのでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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