『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「
今回注目したニュースはこちら!
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“ニキビ患者さん向けスマートフォンアプリ
治療継続をサポート『ニキビログ』の提供を開始”
マルホ社は、ニキビ患者さん向けスマートフォンアプリ『ニキビログ』の提供を開始しました。『ニキビログ』は、Welbyとマルホが共同開発したスマートフォンアプリで、Welbyが運営し、マルホが提供します。
ニキビは医学的には「尋常性ざ瘡」と言われる慢性炎症性の皮膚疾患です。思春期以降に発症することが多く、国内では「青春のシンボル」とも呼ばれ、皮膚疾患として十分に認識されていない現状があります。一方、医療機関を受診したニキビ患者さんの QOL(生活の質)調査の結果では、重症度にかかわらず、特に感情面のQOLが低下し、患者さんの日常生活に影響を及ぼしていることが確認されています。このため早期の積極的な治療と炎症軽快後の維持療法が求められています。
『ニキビログ』は、ニキビにお悩みの患者さんの症状を写真に記録し、日々の行動記録とあわせることで、症状の変化を可視化し、患者さんの自己管理を支援し、治療継続をサポートします。また、ニキビの出来る仕組みなどの基本的な疾患情報とともに、メイクアップやスキンケアの情報など、ケアも含めたニキビに対する疑問を解消し、理解を深めていただけるコンテンツを公開しています。
プレスリリースはこちら(マルホ株式会社、2019年3月4日発表)
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、皮膚科学領域に特化した製薬企業のマルホと各種PHRサービスを提供しているWelbyが共同でニキビ患者さん向けアプリの提供を開始したというニュースです。
Welbyはこれまで、糖尿病、高血圧などの生活習慣病患者向けの自己管理アプリを提供したり、特定の疾患、希少疾患の患者向けに自己管理アプリ、PHRサービスを提供しています。
また、特定の疾患の患者向けでは、それぞれの疾患ごとに製薬企業と連携して患者向けにPHRサービスを提供しています。
PHRサービスの基本的な機能は、自らの健康・医療情報の記録です。記録する内容、方法は疾患ごとに異なりますが、「記録する行動」は同じです。
この「記録する行動」を疾患ごとにカスタマイズして提供していますが、このニュースのニキビ患者向けスマートフォンアプリ『ニキビログ』の機能を見ても、記録した後のソリューションである「薬」までダイレクトにはつながっていないようです。
では、なぜ製薬企業が連携するのかという点なのですが、製薬企業にとってはアプリ利用者で患者から集まるPHR(記録データ)が魅力的だからだと思います。患者さんの日々の詳細なデータは、製薬企業にとっては宝の山に見えるのです。
この宝の山である患者さんのデータが継続的に集まって、この膨大なデータを新たな製品開発、プロモーションに活かしていくというサイクルが上手く回るようにしていくことが大切です。
そのためにも、いかに患者にアプリを使ってもらって、データを多く集められるかということが、患者のデータを宝の山にしていけるかどうかの最初のハードルです。
患者に継続的にアプリを使ってもらえるためには、患者のメリットをどのように提供できるかという視点が必要になってきます。やはり、アプリを継続して使ってもらえる工夫が、PHRサービスでは避けては通れない大きな課題です。
データを宝の山にできるかどうかは、患者の「記録する行動」をどう「継続」させられるかにかかっているような気がしています。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、
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