『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“【ウェルビーイングクリニック駒沢公園】最新のウェアラブルデバイスで医師が健康状態をリアルタイム確認&フィードバックが可能な新サービスをスタート!心臓病や糖尿病のケアに最適な最新のシステムを構築中”
株式会社ぜんが共同運営する「ウェルビーイングクリニック駒沢公園」は、2020年6月、FitbitやApple Watchなどの最新のウェアラブルデバイスを使用し、心拍などの健康状態を医師がリアルタイムでチェック、フィードバックが可能なシステムを構築しました。 心臓病や糖尿病のケアに最適な当サービスは、2020年7月にリリース予定です。
≪開発の背景≫
「わが国における心疾患の死亡率・罹患率の動向」(2018年 3 月 日循予防誌 第53巻 第 1 号/久松隆史、三浦克之)によると、心疾患粗死亡率は1990年代後半から男女とも増加傾向にあり、2000年代に入ってからは女性の方が男性よりも高い水準で推移しています。
この状況に対し、心臓病や糖尿病などを患っている、又は不安がある方に向け、ウェアラブルデバイスを使用して循環器の専門医師がリアルタイムで健康状態をチェックし、適切フィードバックを可能としたシステムを構築いたしました。心疾患のある方のみならず、アスリートや健康管理目的の方に向けて、心拍に関する正確な情報を提供し、効率的なトレーニングや健康増進に向けたアドバイスも行います。
循環器の専門医が、病気のケアだけでなく、病気にならないための予防、更にはウェルビーイング(幸福)になっていくためのアドバイスを、最新のテクノロジーとともに提供致します。
※わが国における心疾患の死亡率・罹患率の動向(2018年 3 月 日循予防誌 第53巻 第 1 号/久松隆史、三浦克之)http://www.jacd.info/library/jjcdp/review/53-1_01_hisamatsu.pdf
≪医療業界へのIoT導入の必要性≫
超高齢社会の到来だけでなく、新型コロナウイルス拡大防止のための「ニューノーマル」時代の観点でも、効率的な医療の提供にITシステム(Internet of Things 略してIoT)の導入は必須だと私たちは考えます。
今、医療機器とヘルスケアのITシステムを、オンラインのネットワークを通じてつなぐという概念「IoMT(Internet of Medical Things)」が提唱されて始めています。法の整備、IT機器の取り扱いや管理、セキュリティなどの課題は残りますが、IoMTの実用化・導入が進むことで医療従事者、患者の双方に大きなメリットがあります。
当クリニックでは、下記のサービス内容で患者様・お客様をサポートする予定です。
≪今後導入予定のサービス内容≫
・ウェアラブルデバイスを用いたモニタリング
FitbitやApple Watchなどのウェアラブル端末を用いて、心拍数をはじめとする各種数値の収集と管理をサポートいたします。消費カロリー計測や睡眠計などの機能から実践的なアドバイスを提案し、より健康で豊かな状態へと導くサポートを致します。
・データの活用
医療データのデジタル化により、検査データの共有や活用が可能になります。複数の医療機関やドクターの間でデータ共有が可能になるほか、検査数値のグラフ化や分析が容易になります。これら多くの数値を集めたビッグデータを活用することで、新たな治療の研究に役立てることも可能です。
・ICTデバイスによるリアルタイムな体調管理
FitbitやApple Watchなどのウェアラブル端末では、体温や脈拍、加速度を測るセンサーにより体の状態や位置の変化を知ることができ、リアルタイムでの容態の変化への対応が可能です。 最新のテクノロジーをよりよく活用し効率化することで、より人間的な、一人一人に時間をしっかりとかける医療を提供します。
プレスリリースはこちら(株式会社ぜん、2020年6月15日発表)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、FitbitやApple Watchなどの最新のウェアラブルデバイスのデータを活用して、医師が健康状態をリアルタイムに確認しフィードバックが可能な新サービスに関するニュースです。
FitbitやApple Watchなどの最新のウェアラブルデバイスは、活動量や睡眠はもちろん心拍などのデータの取得が可能で、特に心拍の常時モニタリングはこれまでは医療の現場で扱うデータという位置づけだったものが、手軽にウェアラブルデバイスで取得、管理が可能になってきています。
私もApple Watchを使用していますが、一度「高心拍数」のアラートが表示されて、念のため循環器のクリニックに行ったことがあります。
(Apple Watchでは安静な状態が10分続いた際に、自身で設定した値以上の心拍数になったら警告を鳴らす機能があります)
その際に、Apple Watchのデータを使って私が説明したところ、循環器の医師が興味津々に私の説明に耳を傾けてくれました。この時に、ウェラブルでデバイス利用者が自らがデータからなんらかの異常を知って、クリニックに受診するといった、ウェラブルデバイスの利用価値、活用方法についてあらためて実感しました。
ウェアラブルデバイスのデータは、医療機器のデータに比べると精度は低く、また各社のウェアラブルデバイスによってもデータの精度のバラツキは生じるのだと思います。しかし、日々の生活の中で異常を早めに知ることができれば、診察が遅れたり、悪化することを防げると思います。
また、医師とデータなどを連携する時に専用の機器でなくてはならないとなると、利用者側のハードルが高いです。やはり、普段身につけている機器、それもより多くのメーカーの機器から選択できて、医師と連携できれば、利用者にとってはハードルが低くなります。
今回のニュースのように、既に持っているウェアラブルデバイスを活用して、手軽に医師と連携できる仕組みがあると、医療現場との距離感を縮めて、医師側の診察、診断にも役立てることができると思います。
ウェアラブルデバイスの医療機器化という方向性もあると思いますが、まずはウェアラブルデバイスの日々のデータを活用して医療現場とつなぐ仕組みという位置づけとして、役割を明確にすることでも良いのかもしれないと今回のニュースを見て改めて感じました。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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