『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“スポーツや運動習慣を記録・分析するデータ統合システムを応用 施設や工場における従業員の行動分析が行える ワーキングソリューションシステムを開発”
アシックスは、このたび、施設や工場内における従業員の位置情報などを記録して分析し、労働状況を可視化するワーキングソリューションシステムを開発しました。同システムは、現在当社が開発を進めているスポーツデータ統合システム「TUNEGRID(チューングリッド)」を応用したもので、施設や工場における従業員の働き方改革に貢献するサービスの構築を目指しています。
本システムでは、「TUNEGRID」のコア技術のひとつである小型BLEセンサ『TUNEGRID-Cube(チューングリッド・キューブ)』を活用します。『TUNEGRID-Cube』は重さ約5グラムの小型BLEセンサで、時間に応じた歩数を記録できるほか、検知器と連動することで着用者の位置情報を取得することが可能です。
2020年10月には、本システムの実用化に向けて、神戸デジタル・ラボと共同で、当社の100%子会社であり国内唯一のシューズ生産拠点である鳥取県の山陰アシックス工業で実証実験を行いました。
山陰アシックス工業の工場内に検知器を配し、複数の従業員に『TUNEGRID-Cube』を装着したワーキングシューズを着用して数週間通常業務を行ってもらい、その行動を分析しました。その結果、着用者の移動履歴、施設への入退室時刻や滞在時間など、業務中の従業員の行動を可視化することができました。得られたデータは、今後の業務改善のための課題抽出や改善施策導入後の効果検証などへの活用が期待できます。
また、本システムを活用することで、遠隔地のPCやモバイルでも従業員の日々の働き方を確認することが可能になり、在宅勤務などニューノーマルの働き方にも適しています。
実用化に向けて、システムのさらなる性能向上および市場ニーズの把握を目的に、株式会社 神戸デジタル・ラボと共同で、日本ロジテムの協力のもと、同社の物流倉庫での実証実験を1月中旬から実施しています。物流倉庫における作業員の作業効率や行動量の定量化と可視化をはかり、業務改善のための課題抽出や効果検証などを行えるサービスの構築を目指します。
当社は今後も、デジタル技術を活用した新たなソリューションを検証し、人々の豊かな暮らしの実現に貢献していきます。
プレスリリースはこちら(株式会社アシックス、2021年1月28日発表)
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、アシックスが開発したスポーツや運動習慣を記録・分析するデータ統合システムを応用し、施設や工場における従業員の行動分析が行えるワーキングソリューションシステムに関するニュースです。
スポーツメーカーであるアシックスは、これまでスポーツデータ統合システム「TUNEGRID」として、小型BLEセンサを活用し時間に応じた歩数や検知器と連動した位置情報を取得するなどを開発しています。今回のワーキングソリューションシステムは、このスポーツデータ統合システムを応用して、施設や工場内の従業員の動きを見える化して、働き方や業務改善に役立てようというものです。
今回のニュースのワーキングソリューションシステムのもとになっているスポーツデータ統合システムである「TUNEGRID」についてより詳しく見てみると、以下のようなことが可能とのこと。
スポーツの競技データや日々の運動習慣を簡易に記録し、その記録を分析することができるスポーツデータ統合システム。小型センサを内蔵したシューズ、ビデオカメラ、スマートウォッチなど多様な測定ツールと連携し、それぞれから得られるデータを一元管理・分析します。スポーツの競技データや日々の運動習慣を分析することで、プレーの特徴や個人の運動量の傾向を可視化し、競技力向上や運動不足解消、怪我の防止などにつなげることができ、子どもや高齢者の見守りサービスへの応用などが期待できると、説明されています。
スポーツの動きの見える化し、そのデータを活用してアスリートの競技力向上や怪我の予防などに役立てる技術はアシックスらしいアプローチと言えます。
この運動、アスリート向けの技術を他のフィールド、分野で応用するという試みが、今回のワーキングソリューションシステムだと言えますが、工場や現場は、スポーツの競技のようにカラダの動きやフォームが画一的ではないため、やはり工場、作業によって理想やアプローチは異なってくると思われます。
画一的ではない動きをどう評価し働き方、業務改善につながるソリューションの提供まで持っていけるかどうかが、今後重要なポイントになってくると感じます。
やはり、「見える化」からその先のソリューションでの価値提供が、ヘルスケアの分野以外でも求められるポイントになります。
しかし、今回のスポーツメーカーであるアシックスが、これまでのスポーツ領域での発を応用して、働き方、業務改善の領域であるワーキングソリューションシステムにアプローチする取り組みは、新しいチャレンジとして今後の展開が楽しみです。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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