『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“新潟大学とシャープが共同研究する咀嚼回数計『bitescan』の食事記録に当社APIが採用”
―咀嚼行動×食事の可視化で、生活習慣病の予防や、高齢者の食事の見守り、子供の咀嚼指導への活用が可能にー
食事・運動・体重管理アプリケーション「カロミル」の開発・提供をするライフログテクノロジーは、新潟大学大学院 医歯学総合研究科 小野高裕教授の研究「ウェアラブルデバイスを用いて“噛む”を行動変容することによる食生活の適正化」に使用されている、シャープが開発する咀嚼回数計『bitescan(バイトスキャン)』の食事記録に、当社の食事画像解析APIが採用されたことをお知らせします。
・咀嚼回数と健康の関係
食生活の変化によって咀嚼回数が減っていることが指摘され、それに伴う「早食い」が肥満・糖尿病などの生活習慣病に与える影響が報告されています。また、日本肥満学会の肥満症診療ガイドラインでは、肥満の行動療法の一つとして咀嚼法が挙げられており、一口 30 回以上かむことが推奨されています。実際の臨床においても、食事に関する行動療法の一つとして「よく噛んで食べること」といった咀嚼法の指導が行われることがありますが、いまだに実効性を伴う行動変容効果が得られているとはいえません。
・問題点は「咀嚼を記録する方法がない」こと
この問題は個々人の「咀嚼を記録できない」という点にあり、咀嚼の記録方法の開発によって、咀嚼と健康の相関エビデンスの構築や、実臨床の咀嚼指導に活用することができると考えています。また、咀嚼回数だけでなく、「何を食べたときに何回咀嚼しているのか」といった食事内容と咀嚼の相関を記録することは、咀嚼法を指導する上でも重要です。今回、咀嚼回数を計る『bitescan(バイトスキャン)』に当社の画像解析技術が使われることで、食事内容と咀嚼回数との関係性を分析することができるようになります。
<当社の食事画像解析技術採用による可能性>
1.咀嚼回数と食事を紐づけて記録することができ、各食事の目標咀嚼回数、実際の咀嚼回数を把握できる
2.咀嚼行動に対して良い点・悪い点が可視化され、改善するための最適な指導ができる(受けられる)
3.咀嚼行動だけでなく食事内容も記録することで、改善への具体的な行動プロセスがイメージしやすい
咀嚼回数がわかり咀嚼と食事の関連性が可視化されることで、これまで曖昧だった咀嚼指導を具体的にすることができ、肥満や生活習慣病の改善、健康維持・促進に活用することができます。
・手軽に装着!簡単に記録!で無理なく実践
本装置は極めて軽量で目立たないため、ストレスフリーで装着でき、スマートフォンと連動させて日常の咀嚼活動をモニタリングすることができます。また、食事の記録は1枚の写真を撮るだけでできるため、手軽に続けることができ、アプリに食事を記録することで「堅い食べ物なのによく噛んでいない」「どういった食事の時に咀嚼回数が減るのか」など、食事と咀嚼行動の関連性もわかるようになります。
今後、咀嚼回数と食事、健康情報(疾病罹患率など)といったデータが蓄積されていくと、「○○を食べるときに咀嚼回数が〇回以上の人は、○○病の罹患リスクが少ない」といった情報から咀嚼行動の最適なアドバイスが可能となり、「疾患罹患リスクからみる咀嚼行動の変容」につなげることもできると考えています。
プレスリリースはこちら(ライフログテクノロジー株式会社、2021年5月12日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、咀嚼回数の見える化に食事画像解析が連動したしたというニュースです。
食事は、どんなモノを食べるのかといったことも重要なことですが、食べ方も健康にかなり影響していると言われています。
特に「早食い」は、肥満はもちろん生活習慣病などにも関係しており、特定保健指導の中でも「早食い」防止は行動目標として扱わること多いようです。
この「早食い」へのアプローチでは、一口 30 回以上かむことが推奨されていますが、実際に一口30回を意識して食べるのは、なかなか難しいものです。
一口だけ30回噛むことを意識することは出来るのですが、食べ方の改善となると、常に意識する必要があるため、なかなか継続が難しい行動の一つでもあります。
咀嚼回数計『bitescan(バイトスキャン)』は、装着して食事をすることで、食事中の咀嚼回数やスピードがカウントされ、スマートフォンアプリで見える化が可能です。食事画像解析と連動することで、食事の内容と咀嚼回数とスピードとの関係性が見えてくるため、より咀嚼回数への意識の継続につながるということです。
これまで、一口30回噛むといった一律の目標であったことが、食事内容によって噛む回数が変化するとともに、より噛む回数が増える食事内容を選んでいる人のほうが、減量や健康度が高いといった、食事内容と噛む回数の関係性がより明確に見えてきたりすると思われます。
今回の咀嚼回数と食事画像解析の連動のように、これまで別々の領域で活用していたデータを連携させることで、新たな価値、見る化が可能になってきます。
視野を拡げて、連動の可能性を探ってみるのも面白いと思います。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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