『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“声を失った声帯摘出者の『CoeFont CLOUD』利用が無料に、自分のAI音声による会話を支援”
東京工業大学発のAI音声合成スタートアップYellstone(エールストン)社は、自分の声を取り込んで音声合成が行えるサービス『CoeFont CLOUD』を、声帯摘出によって声を失った人たちに無料提供すると発表した。これを利用すれば、スマホやパソコンで文章を入力するだけで、自分の声で会話ができるようになる。
申し込みは、「CoeFont CLOUD 声帯摘出者向けプラン申請フォーム」から行える。
AI音声合成プラットフォーム『CoeFont CLOUD』では、自分の声を収録すれば、それが音声合成用の声のフォント「CoeFont」(コエフォント)に変換され、自分の合成音声でテキストの読み上げが行えるようになる。自分の「CoeFont」はクラウド上で公開でき、他のユーザーがそれを利用すれば作成者に収益が還元される仕組みもある。APIを使ってアプリやウェブサイトに組み込むことも可能。
Yellsotneでは、『CoeFont CLOUD』の場合これまで料金500円・最短15分の収録としていたが、今後は、声帯摘出を行った人は無料で使えるようになる。
記事原文はこちら(『TechCrunch』2021年9月9日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回ご紹介する『CoeFont CLOUD』は、本来は原稿を作れば自分の声で音声を作れたり、タレントや声優の声を使いたいとき、本人よる収録に変わって作ることができるものです。
そもそも声帯摘出者向けのサービスとしては考えていなかったとのことです。記事原文を読んでいただくと代表者のコメントがありますので見てください。
何より素晴らしいのは、声帯摘出者には無料で提供すると言う試みです。
このような困っている方が必要とすることを、ビジネスチャンスと考えても悪いことはありません。それを無料で提供するなんて、とても素敵な考えですね。
障害を持った方に向けたデジタルを活用したサービスはいくつも考えられ、提供もされてきましたが、誰からお金をもらうかは課題です。
対象者に無理のない金額設定をしても、対象者の絶対数が少ないため、ビジネスとして成立しないことがあり、このサービスの収益だけで運用するには限度があります。
『CoeFont CLOUD』はビジネスとしては別に収益を考えられているからこそ、無料提供が実現したのでしょう。
今回の試みにより、多くの人に認知、評価されることがメインビジネスをより前進させることになるのではないかと、期待したいと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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