『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“株式会社JMDCとの資本業務提携契約の締結について”
オムロンは、本日、JMDCとの間で、資本業務提携を行うことを決定し、資本業務提携契約書の締結及びJMDC株式の取得を決定しましたので、お知らせいたします。
1.本資本業務提携の目的及び理由
当社グループは、事業を通じて社会的課題を解決することで、よりよい社会を作ることを目指しており、ヘルスケア事業においては、「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」というミッションを掲げ、「循環器疾患イベントゼロ」の社会実現を目指しております。
JMDCグループは、「健康で豊かな人生をすべての人に」という企業理念を掲げ、「医療費の増大」、「医療の地域格差」、「生活習慣病の増大」、「労働力不足」といった社会課題に対しデータとICTの力で解決に取り組むことで、持続可能なヘルスケアシステムの実現を目指しています。
両グループは、JMDCグループが保有するレセプト・健診などの医療データと当社が保有する日常生活下の血圧・バイタル・活動データなどを組合せ、解析し、個人のイベント発症のリスク(発症可能性やタイミング)を予測することで、医師の投薬治療や生活者・患者の生活習慣改善の支援を行うパーソナライズされた重症化予防ソリューションや介護予防ソリューション等を創出していきます。
両グループは、ヘルスデータプラットフォームをコアに、イベントゼロをはじめとする健康増進・重症化予防ソリューションを社会実装することで、人々の健康寿命の延伸と医療費適正化の両立を図り、予防、未病、治療、ケアという分野で、その進化をさらに加速し、国内で事業展開するとともに、そこで得られたノウハウ・ソリューションの海外展開も目指していきます。これらによって、国内外の生活者の健康増進に寄与し、関連する医療費の削減に貢献する未来像を実現してまいりたいと考えております。
JMDCグループの起業家精神あふれる企業文化及び経営の独立性を最大限尊重しつつ、上記施策の実行を通じて事業シナジーを創出し、両グループの企業価値の最大化を実現することを目指してまいります。
2.本資本業務提携の内容
両グループの経営資源・ノウハウを最大限活用し、両グループの事業を育成・拡大すべく、以下に代表される事項の実施を目指すことを合意しており、今後詳細についての協議を進めてまいります。
1.本資本業務提携に基づき今後検討する業務提携の領域
1.ヘルスデータプラットフォームの強化
i.当社グループ保有データのJMDCグループへの連携によるヘルスデータプラットフォームの構築
ii.データ収集のためのJMDCグループのプロダクト・サービスの販売協力
2.予防ソリューションの開発
i.1次~3次予防や介護予防領域における生活者・患者への行動変容サービスや医療事業者の治療・指導支援サービスの共同開発と社会実装を含む、デバイスとデータを駆使した画期的な予防ソリューションの開発
ii.当社グループによる保険者向けのデバイスの開発とJMDCグループへの供給
3.JMDCグループの海外事業展開の加速
i.海外でのJMDCグループのプロダクト・サービスの販売協力
ii.JMDCグループによる当社グループの海外拠点の活用
4.デバイス・サービスのクロスセル
i.パーソナル・ヘルス・レコードとデバイスを連携したソリューションの医療機関、保険者、自治体、企業等への展開
ii.当社グループとJMDCグループの製品・サービス・ソリューションに関する相互取引
2.JMDC株式取得の内容
当社は、本日、JMDCの大株主であるノーリツ鋼機株式会社より、市場外相対取引を通じて以下の通り、JMDC株式を取得すること(以下、「本株式取得」といいます。)を決定しております。
1.本株式取得により取得するJMDCの株式数: 18,644,100株・33.0%
(2022年2月1日時点の発行済株式総数に対する比率)
2.本株式取得の総額:111,864百万円(1株当たりの取得価格:6,000円)
3.本株式取得の実行日:2022年2月25日(予定)
プレスリリースはこちら(オムロン株式会社 2022年2月22日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、健康機器のオムロンと医療統計データサービスのJMDCの両分野の大手同士が手を組んだ資本業務提携に関するニュースです。
今回の資本業務提携では、健康機器を販売しているオムロングループのオムロンヘルスケアではなく、オムロン本体とJMDCとの資本業務提携の形になっており、オムロン側が取得するJMDCの株式取得総額は、1千億円以上と国内のヘルスケア関連の資本業務提携では大型の提携だと言えます。
今回の資本業務提携では、両社のそれぞれの強みである機器とデータを組み合わせて、以下の4つの項目の展開を検討しています。
・ヘルスデータプラットフォームの強化
・予防ソリューションの開発
・JMDCグループの海外事業展開の加速
・デバイス・サービスのクロスセル
これまで両社が扱ってきた「健康機器(計測データを含めて)」と「健診データ、レセプトデータ」は、それぞれの商品、データの単体での価値として提供されてきています。
今回の資本業務提携によって、「健康機器(計測データを含めて)」と「健診データ、レセプトデータ」を組み合わせて新しい価値を生み出し、サービスとして提供していくことになります。
単純な「商品、機器」にサービスをプラスするレベルの「1+1」の発想では、新しい価値としてのサービスにはなりません。
やはり、新たな価値を生んで魅力的なサービスとして成立させるためには、素材を飛び越えた発想や更なる素材を注入するなどの新たな化学反応なども必要になってきます。
今回の両社が保有するノウハウなどの素材は、両社の分野、領域ではトップクラスです。
このトップクラスの素材同士の組み合わせで、どんな新しい価値が今後生まれてくるのか、そしてヘルスケアサービスの勢力図がどう変化していくか、今回の両社の資本業務提携の動きは大いに注目していきたいと思います。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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