『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“継続的なガム咀嚼によって自律神経・気分状態が改善し、
さらに唾液中の免疫成分濃度が増加することを確認”
ガム継続摂取による自律神経、ストレスおよび唾液中のIgA濃度への影響に関する研究
ロッテは、「噛むこと」の健康機能に着目し、様々な研究に取り組んでおります。この度、順天堂大学の小林弘幸教授、医療法人社団順幸会小林メディカルクリニック東京と共同で研究を実施し、「ガム咀嚼を2週間継続することにより自律神経や気分状態が改善し、さらに唾液中の免疫グロブリンA(IgA:様々な病原体に対する生体防御機構の最前線として役割を果たす免疫物質)濃度が増加する」ことを確認しました。本研究成果は「薬理と治療(2022年50巻6号)」に論文掲載されました。
■研究概要
ストレスの多い現代社会において、気分状態や自律神経を整え、免疫力を高めることに関心が集まっています。免疫とストレスは密接に関係し、慢性的なストレスは免疫力の低下にもつながると言われています。咀嚼という簡便な方法でこれらを改善することができれば、世の中に大きく貢献できる可能性があります。そこで本研究において、ガム咀嚼を継続的に行うことによる、自律神経やストレス、唾液中のIgA分泌への影響を検証いたしました。
【対象】20~50代の健常な男女50名(オープンランダム化並行群間比較試験)
【方法】1日3回のガム咀嚼を2週間継続し、自律神経・気分状態(POMSⅡ)・唾液中IgA濃度等を測定
■研究結果
ガム咀嚼を2週間継続することで、自律神経バランス・気分状態の改善および唾液中のIgA濃度が増加することが確認されました。
プレスリリースはこちら(株式会社ロッテ 2022年7月14日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、ロッテが研究発表した継続的なガムの咀嚼による効果に関するニュースです。
ロッテでは、噛むことの情報サイトとして「噛むこと研究室」を立ち上げ、以前から「噛む」ことの研究や情報発信を行なってきています。
「咀嚼」を含めたオーラルケアのテーマは、最近ヘルスケアの中では、注目されているキーワードではないかと私は感じています。
歯周病が生活習慣病を含めた様々な疾病と関係していると言われてきており、また咀嚼に関しても、咀嚼力の低下による低栄養が、フレイル、サルコペニア、ロコモといった負の連鎖にも関係しているとも言われております。
また、歯の健康は認知症とも関係しており、「歯の健康度」による保険料割引の仕組みの認知症保障保険が提供されるなど、オーラールケア関連では、少しずつ動きが出始めていると言えます。
ヘルスケア全体ではオーラルケアのテーマは注目されてきておりますが、予防領域でのオンライン、ヘルステック領域でのオーラルケアのサービス提供は、まだまだ少ないような気がしています。
数年前には、電動歯ブラシと連動したアプリが提供され、歯磨きの習慣、磨き方のサポートをしてくるといったサービスが提供されていましたが、それ以降はあまり目立った動きは見えていません。
おそらく、ヘルスケア領域としてオーラルケアは注目のキーワードなので、今後予防領域でのオーラルケアのサービスは提供されてくると思うのですが、オンラインやヘルステックといった領域でのオーラルケアのサービス提供、ソリューション提供の具体的なイメージが想像できないのが現状で、実は私自身も解を持ち合わせておりません。
今回、ロッテの咀嚼による効果のニュースを見て、あらためて咀嚼を含めてオーラルケアの可能性を感じたのと、やはりオーラルケアはいかにサービス提供、ソリューション提供にどう落とし込んで、アプリ等を含めたオンラインでどう提供していけるかといったところまで踏み込んでいく必要性を強く感じました。
オーラルケアのサービスは、ヘルスケアの中でもまだまだ空白地帯とも言える領域だと言えます。どんな事業社が参入してくるのか、大いに楽しみです。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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