『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“緑内障の早期発見に寄与できるスマートフォン用のゲームアプリを開発 特許取得のお知らせ”
【本学研究者情報】
大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座眼科学分野 教授 中澤徹
【発表のポイント】
・日本人の中途失明原因第1位の緑内障を早期発見する目的で、短時間かつゲーム感覚で視野の状態を確認することができる新しいアプリケーション(METEOR BLASTER)を開発した。
・「eスポーツによる目の健康促進」という観点で早期の社会実装を目指す。
【概要】
日本人が失明する原因の第1位は緑内障です。自覚症状が無いために知らぬ間に進行し、見つかった時には手遅れのことがよくあります。もし早期に発見できれば、進行を抑える手当てが可能になります。
国立大学法人東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座眼科学分野のチームと仙台放送は、「緑内障の早期発見に寄与できるスマートフォン用のゲームアプリ(METEOR BLASTER)」を共同開発し、2022年7月11日に日本における特許を取得しました。
このゲームアプリは、「宇宙空間を舞台としたシューティング系ゲーム」です。画面中央の隕石を破壊する等の簡単な操作に約5分間取り組むだけで、利用者の「視野」を簡易判定できるもので、これまで難しいとされてきた緑内障の早期発見にも寄与するものです。
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、京都大学が開発し特許を取得した緑内障の早期発見に寄与できるスマートフォン用のゲームアプリに関するニュースです。
日本人の中途失明原因第1位の緑内障は、早期発見が難しく、その結果手遅れということが原因で失明というケースが、これまでの課題として挙げられていたようです。
疾病の早期発見は、予防への意識と同じくらい難しく、やはり多くの人々は、なにか課題を認識したり、自覚症状が明確に出た段階になって、病院への受診やなにかのアクションを起こすことが通常です。
疾病に関しては早期発見が重要で、その大切さについてはいろんな場所や方法で伝えられていますが、なかなか個人個人の意識はもちろん自分ごととして認識されていなのが現状だと思います。
そのため、緑内障の検査の必要性を真正面から訴えても、自覚症状が無い人はなかなか実際の検査に向き合うというところまでの距離を縮めるのは難しいです。
しかし、緑内障の検査といった真正面からの入口ではなく、今回のスマートフォン用のゲームアプリというふうに検査が目的ではなく、ゲームが目的に変化させることができれば、同じ検査であっても向き合い方や取り組みへの距離感もグッと縮まります。
予防はもちろん疾病の早期発見などについては、やはり検査や予防を真正面から伝えても、課題や自覚症状が無い人は興味を示してくれません。
やはり、入口を変えるアプローチできっかけや接点作りをした上で、そこから疾病や予防のアプローチに入っていくシナリオの方が向いているのだと思います。
今回の京都大学が開発し特許を取得した緑内障の早期発見に寄与できるスマートフォン用のゲームアプリのアプローチは、他の疾病はもちろん予防への意識を高めていくアプローチでも応用可能です。
今回のニュースのような入口を変えたアプローチは、健康への意識が低い、またはまだまだ健康との距離感が存在する人達に向けては有効な仕掛けになると思われます。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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