『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“介護現場の腰痛リスクを徹底見える化。IoT アプリ『Malpos Major®』による新サービス「サーベイパック」の発売開始。”
日本ケアリフトサービスは、介護現場の腰痛リスクを見える化するサービス「サーベイパック」を 2023 年1月より発売いたします。
サーベイパックで使用する当社開発 IoT アプリ『Malpos Major® (マルポスメジャー)』は、介護施設での労働災害の主なものの一つである「腰痛」のリスクについて、腰痛が発生する可能性が高い介助の時間帯や頻度を測定し明らかにすることができます。また、デジタルアンケートツールにより、介護施設内の労働災害の発生リスクがある場所の特定を行います。
【 介護業界の人材不足と腰痛問題 】
近い将来ピークを迎える超高齢社会とともに介護現場の若手・人材不足が問題となっている今、介護施設では人材確保と定着が大きな課題となっています。一方、腰痛が原因となり介護職員が離職を余儀なくされるケースが多く発生しており、労働環境の改善が社会的な課題となっています。
【 Malpos Major® で腰痛リスク計測 】
当社が開発した腰痛リスク計測 & ⾒える化アプリ『Malpos Major® 』は、専用デバイスをコルセット型のベルトに入れ、介護職員の方の勤務時間中に腰に装着していただき計測を行います。
【 腰痛リスクを見える化 】
計測後のデータはクラウドで管理され、専用アプリで腰痛が発生する可能性が高い介助の時間帯や頻度を表示することが可能です。
【 介助時のリスクが高いエリアを見える化 】
2つめの見える化サービス、デジタルアンケートツールでは、介助時に事故やケガのリスクが高いエリアを明らかにすることができます。
【 サーベイパックのご利用 】
この二つの見える化ツールによる「サーベイパック」は、各2回の計測で1セットのサービスとなっております。1回目の計測では現状把握と課題抽出を行い、2回目の計測では改善がどれくらい進んだのか効果検証を行うことを目的としています。
また、当サービスに含まれる「労働生産性コスト試算表」では、施設内の労働環境の改善が進むことで、どれくらい生産性が向上しているのかをコスト試算することができ、マネジメントの観点から効果検証することができます。
プレスリリースはこちら(日本ケアリフトサービス株式会社 2022年12月1日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、介護現場の腰痛リスクの見える化に関するニュースです。
介護現場では、人材不足が大きな問題になっており、その人材不足の要因の一つとして、重労働によって引き起こされる腰痛による離職があります。
腰痛は介護現場だけではなく、多くの労働者が抱えている痛みの一つであって、腰痛による生産性の低下は、社会課題とも言われています。
とりわけ、介護現場の腰痛の問題は大きいのが事実です。
今回のニュースの介護現場の腰痛リスクの見える化サービスは、個人の腰痛にフォーカースを当てるのではなく、まずは介護の現場の腰痛のリスクを見つける役割を果たすという位置付けです。
腰痛が発生する可能性が高い介助の時間帯や頻度を見える化するために、実際に介護者が専用デバイスをコルセット型のベルトに入れ腰に装着して作業して、そのデータから腰痛のリスクの見える化を行うというものです。
その腰痛のリスクの見える化した情報をもとに、持ち上げない介護や介護リフトの導入などの具体的な改善策の検討に役立てます。
労働者が抱る腰痛については、比較的個人の問題であって、個人で対策するというのが一般的で、労働環境の中で腰痛リスクの見える化から労働環境の対策、改善につなげているケースは、まだまだ少ないのが現状ではないでしょうか!?
今回の腰痛リスクの見える化に用いられている介護者が装着するコルセット型のベルトである専用デバイスであれば、大かがりな測定機器が必要ではなく、また普段通りの作業の妨げにならないのが大き特徴だと言え、これが実現できているのもセンサーが内蔵されたウェアラブル可能な機器ということなのです。
これまで、ヘルスケアの領域では数多くのセンシングが可能になってきており、ウェアラブル機器として提供されてきています。
これまでの個人に対してのセンシング、ウェアラブル機器の用途を異なる領域、今回で言えば介護の現場のように、別の角度や異なる視点に目を向ければ、現場の作業、労働環境の見える化といった新たな活用の可能性が、まだまだあるのではないかと、今回のニュースをみて感じました。
作業現場、労働環境の改善は、生産性の向上はもちろん、人材の定着、離職率の低下等、健康経営の視点からみても重要なポイントになります。
センシング、ウェアラブル機器の別の用途、活用から、労働環境の改善に向けた健康経営へのアプローチは、まだまだ可能性がありそうです。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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