『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“糖尿病アプリ『シンクヘルス』、ノボ ノルディスク ファーマのスマートセンサー「マリヤ(R)」とデータ連携開始”
H2社は、BIOCORP社が開発しノボ ノルディスク ファーマ社が国内で販売するスマートセンサー「マリヤ(R)」と国内初のデータ連携を開始することをお知らせいたします。本連携によりインスリン投与履歴をはじめとしたPHR(Personal Health Record)の正確な把握が可能になります。
日本の糖尿病人口は2007年をピークに減少傾向ではあるものの日本に約1,000万人程度いるといわれています。日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド2022-2023」によると、糖尿病の治療の目標は「糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL」と掲げられており、患者さんに合わせた様々な治療が選択されています。中でも、1型糖尿病の患者さんや、安定した血糖コントロールが必要な一部の2型糖尿病患者さんなどにおいて、インスリン製剤の注射が選択されます。インスリンでの治療を行う患者さんは、1日に複数回血糖測定を行い、その値に応じた量のインスリン製剤を注射する必要があるため、患者さんにとって、注射の時間や量を毎回正確に記録することは難易度が高い上、大きな負担となっています。今回弊社が連携を開始するスマートセンサー「マリヤ(R)」は、インスリン製剤に装着することで、投与量を自動で認識し、弊社のアプリ『シンクヘルス』に自動で送信される仕組みとなっており、入力の手間を省くだけでなく、インスリン製剤の投与状況を正確に記録することが可能となります。
今回インスリンのトップグループであるノボ ノルディスク ファーマが販売する「マリヤ(R)︎」との連携を開始し、PHRの正確性や効率を高める一歩を踏み出せたことを大変光栄に思います。糖尿病などの慢性疾患は長期にわたるため、正確にPHRを記録することは誰にとっても難しいことです。近年は、「マリヤ(R)︎」のようなPHRの測定や記録の効率化の進歩に加え、国としてもPHRを国家で管理できるような仕組みづくりが進んでいます。弊社も、様々な企業様との協業を進めながら、デジタルによって、より個別化された慢性疾患管理により、個人個人が自らの健康に関心を持ち、管理できるデジタルサービスの開発・改良に努めてまいります。
記事原文はこちら(『TECHABLE』2023年3月13日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回ご紹介のニュース、糖尿病患者が日々行うインスリン注射の管理をデータ連携で行えると言うものです。
すでにmHealth Watchで海外ニュースを見慣れている人なら、「今更なぜ紹介しているのだろう?」と思うかもしれませんね!?
でも、日本国内においては「やっとここまで来たか!」と言う感想になります。それくらい国内で導入するには障壁があったと言うことです。
今回のH2の取り組みにより、とても助かると思う方もいるでしょう。それと同時に、データ連携による見える化だけでは、課題解決にならない方もいます。
そもそも血糖値を適切に計れていない人は数多くいます。そのような人にインスリン投与量を伝えても、根本的な解決にはつながらない可能性があります。
ノボ ノルディスク ファーマやH2は、国内において越えられなかった壁に挑んでくれました。このこと自体は大いに評価すべきことでしょう。
しかし計測とデータ連携だけでは解決しない課題も多く存在します。そんなときに参考になるのが、先行する海外事例です。すでに切り開いているビジネスにヒントがあります。
後発としては、大いに参考にしてマネていくことが、得たい結果を導き出すための近道となっていきます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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