『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“第11回 睡眠に関する調査 ”
全国2,382名に「第11回 睡眠に関する調査」を実施
8割が快眠のための工夫を実施するも…
睡眠に不満がある人は11回連続で9割以上!
美と健康の総合メーカー、フジ医療器は、このたび20歳以上の全国2,382名を対象に「第11回 睡眠に関する調査」を実施しましたので、その結果を発表いたします。
この調査は、睡眠と健康をテーマに、睡眠に与える影響やその原因、よりよい眠りのための工夫など睡眠に関する実態を把握するために2011年から実施しており、今回の調査で11回目となります。
調査結果概要
(1)睡眠についての不満がある人は94%
(2)睡眠に関して最も不満に感じることは「何度か目が覚める」が2年連続1位
(3)睡眠に不満がある原因は「加齢」、「ストレス」、「運動不足」
(4)理想の睡眠時間は「8時間」に対し、実際は「6時間以下」が半数以上
(5)85%の人が快眠のために工夫をしている。効果を実感しやすいのは「睡眠環境の調整」
(6)快眠グッズの購入検討が増加傾向、人気は「枕」「敷き布団・マットレス」
(7)睡眠改善のための予算は1千円~5万円まで幅広く検討
調査概要
・調査期間:2023年12月21日(木)~2023年12月25日(月)
・対象者: 20歳~99歳の男女
・有効回答者数:2,382名(20代:34名、30代:215名、40代:403名、50代:676名、60代:626名、70代以上:428名)
・調査エリア:全国
・調査方法:フジ医療器メルマガ会員にWeb 上でのアンケートを実施
※グラフのパーセンテージは四捨五入されているため合計値が100にならないものもございます。
調査結果の詳細
1)睡眠についての不満がある人は94%
「睡眠に関して不満に感じることはありますか?」と質問したところ、93.6%が「不満がある」と回答しました。「不満がある」と回答した人の数はこれまでの調査で毎回90%を超えています。
年代別に見ると最も多かったのは30代で97.2%、反対に最も少なかったのは70代以上の89.0%で、その差は8.2ポイントでした。若い世代ほど、睡眠に不満のある人が多い傾向があるようです。
2)睡眠に関して最も不満に感じることは「何度か目が覚める」が2年連続1位
「睡眠に関して最も不満に感じることは何ですか?」と質問したところ、回答の多かった順に「何度か目が覚める」(18.0%)、「トイレが近い」(16.1%)、「寝ても疲れがとれない」(15.1%)でした。「何度か目が覚める」は昨年に引き続き最も多い結果となりました。
年代別に見ると、特に20代~30代の人は「寝ても疲れがとれない」という回答が多い傾向があるようです。年齢が上がるにつれ割合が大きくなっているのが「トイレが近い」という回答でした。
3)睡眠に不満がある原因は「加齢」、「ストレス」、「運動不足」
「睡眠に不満がある原因は何だと思いますか?(複数選択可)」の質問では、「加齢」(41.2%)、「ストレス」(36.8%)、「運動不足」(27.0%)、「手足の冷え」(21.6%)、「原因不明」(14.8%)でした。今回から選択肢に「運動不足」を追加して調査したところ、3番目に多い結果となりました。
年代別で見ると、20代~50代の働く世代は「ストレス」や「人間関係の疲れ」という回答が多く、年を重ねるにつれ「加齢」と答える人が多くなる傾向にあります。「運動不足」と回答した人の割合は年代、性別間での偏りはなく、運動不足は多くの人が抱える悩みであることがうかがえます。
4) 理想の睡眠時間は「8時間」に対し、実際は「6時間以下」が半数以上
回答者全員に平日の睡眠時間について質問したところ、最も多かったのは「6時間」(37.0%)で、平日の睡眠時間が平均6時間以下の人は全体の6割を占めています。一方で休日は7時間以上と回答した人が6割以上と、平日に比べると睡眠時間を確保できているようです。ただ理想の睡眠時間は63.1%が8時間以上と回答しており、平日・休日問わず自身の睡眠時間は十分でないと考える人が多いことがうかがえます。
(5) 85%の人が快眠をとるために工夫をしている。効果を実感しやすいのは「睡眠環境の調整」
回答者全員に「快眠をとるために工夫していることはありますか?(複数選択可)」と質問したところ、何かしらの工夫を行っている人は85%という結果でした。工夫の内容は回答の多かった順に「入浴をする」(41.1%)、「適度な運動」(26.9%)、「ストレッチ」(22.8%)という結果になりました。
快眠のための工夫を実施している人に効果を得られているか質問したところ、「毎回快眠が得られる」と回答した人の割合が多かった項目は「より快適な掛布団・毛布を使用」(20.5%)や「寝室環境の調整」(16.3%)、「より快適なパジャマを着用」(16.0%)などがありました。睡眠をとるための環境を整えることで効果を実感している人が多いようです。また今回の調査より選択肢に追加した「毎日同じ時間に布団に入る」という回答でも快眠の効果を実感している人が多く、その割合は19.4%でした。快適な睡眠を得るためには、生活リズムを整えることも大切だとうかがえます。
(6) 快眠グッズの購入検討が増加傾向、人気は「枕」「敷き布団・マットレス」
「睡眠改善のために何か購入をした事はありますか?(複数選択可)」という質問に対しては、「枕」(55.0%)、「敷き布団・マットレス」(41.5%)が多い結果となりました。
また、「睡眠改善のためにこれから購入したいものはありますか?(複数選択可)」の質問では、「購入を検討していない」が最も多く33.6%で、次に「枕」(31.4%)、「敷き布団・マットレス」(26.6%)という結果でした。「購入を検討していない」の割合は2年連続で減少している※ことから、快眠グッズの購入を考えている人が増えていることがうかがえます。(※2022年は47.8%、2023年は35.9%)
(7) 睡眠改善のための予算は1千円~5万円まで幅広く検討
「睡眠改善のために使っても良いと思う予算」を聞いたところ、回答の多かった順に「5千円~1万円未満」(28.8%)、「1千円~5千円未満」(25.9%)、「1万円~5万円未満」(24.4%)という結果でした。昨年のデータと比較すると、1千円未満~5千円の回答が増加し、5千円~5万円の回答が減少していて、割合はそれぞれ25%前後でした。1千円から5万円までが、購入を検討しやすい価格帯といえるようです。
【総括】
睡眠に不満を感じている人は11回連続で9割を超える水準で推移しています。また、睡眠に関する不満の原因として「運動不足」が、快眠のための工夫には「適度な運動」がランクインしていたことから、睡眠の質だけでなく運動習慣も現代人にとっては大きな課題であることを感じる結果となりました。
プレスリリースはこちら(株式会社フジ医療器 2024年1月25日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
今回注目したのは、フジ医療器が実施した「第11回 睡眠に関する調査」に関するニュースです。
睡眠に不満を感じている人は全体で93.6%で、20代から60代までの各年代で90%以上の人が睡眠に不満を感じており、健康に関する多くのテーマ、課題の中で、若年層が課題を感じているというのは、この睡眠というテーマ、課題の特徴かもしれません。
今回私が注目したのは、睡眠に不満がある原因として、「運動不足」が第3位に入ってくるのですが、快眠のための工夫を実施している人に効果を得られているかの質問で、「毎回快眠が得られる」と回答した人の割合が多かった工夫は、睡眠のために環境を整えることで、やはり睡眠の環境を整えることは効果が実感しやすいという点です。
睡眠に不満がある原因として「運動不足」と回答した人の中で、実際に運動に取り組んでも「毎回快眠が得られる」かという点では、それほど多くの人が実感しているわけではなく、運動のアプローチでは即効性の実感が得られないということなのだと思います。
この即効性の実感が得られないという点こそが、課題解決のアプローチの難しさ、実際の行動変容、習慣改善に対しての難しさが潜んでいるような気がしています。課題の解決に向けた行動は、やはり継続して取り組むことが重要です。
また、継続して取り組む際には、取り組んだことの変化、成果を実感できることが大切で、取り組んだことでの僅かな変化や効果が得られることこそが、自己効力感につながっていきます。
逆に、取り組んでも効果が実感できないことは、自己効力感は高まらず、取り組み自体のストップにつながってしまうのです。
また、運動よりも環境を整えることの方が、手軽で簡単に、無理なく、頑張らずにできるので、楽な方で効果も実感できるのであれば、そちちを選択するのは当然のことでしょう。
健康の課題を改善するためには、自らの行動、取り組みが必須であり、それも継続がつきものです。
楽な方で効果が実感できるのであれば、それも一つのアプローチであり、取り組みの継続という視点でも重要なポイントです。
あまり健康の課題の解決に向けて、真正面からの正攻法のアプローチではなく、楽で効果も実感できるアプローチを入口に拡げていくことの重要性を、今回のニュースを見てあらためて感じました。
みなさんも、参考にしてみてください。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
Comments are closed.