『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“【損保業界初】自動車保険の法人契約者へ睡眠障害リスク計測サービス『Sleep Doc』の無償提供を開始”
SBI損害保険とサプリムは、2024年8月1日から、サプリムの睡眠障害リスク計測サービス『Sleep Doc』を、新規に契約される「SBI損保の自動車保険」の法人契約者に無償で提供いたします(※1)。自動車保険の契約者向けにウェアラブルデバイスを用いた睡眠障害リスク計測サービスを提供する取り組みは、損害保険業界で初となります。
背景
睡眠障害のひとつである「睡眠時無呼吸症候群」は、日本人の6人に1人にあたる約2,200万人が潜在患者であるといわれています。しかしながら、重症者でも必ずしも自覚症状があるわけではなく、治療を受けている患者はわずか65万人にとどまります。
諸外国における研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者はさまざまなリスクが高く、交通事故の発生率が7倍、労災被災率は2倍、うつ病発症率は2倍など、安全面や健康面での危険性が指摘されています。ゆえに潜在患者の発見および治療は社会的な意義が大きいと考えられます。
本取り組みの概要
新規に契約される「SBI損保の自動車保険」の法人契約者に対して、サプリムの睡眠障害リスク計測サービス『Sleep Doc』を無償で提供いたします(※1)。お客さまは、Apple Watch等のウェアラブルデバイスで計測された睡眠時のデータ解析とセルフチェックをもとにした睡眠専門医監修のレポートにより、睡眠障害のリスクをチェックすることができます。さらに、高リスクと判定された場合には、サプリムが最短で翌日診察可能なオンラインクリニックを含む全国3,000件以上の医療機関をご紹介します。
SBI損保は、「新しい時代に、新しい保険を」という企業理念のもと、保険料だけではないプラスの価値を加えることで選んでいただける保険会社になることを目指しています。今回の取り組みは、事故に対する補償や安心をご提供するだけでなく、事故を減らすことによる幸せな社会の実現と健康で豊かな社会への貢献を目指す取り組みです。SBI損保は今後も、お客さまによりご満足いただけるような保険商品・サービスの提供に努めてまいります。
※1 2024年8月1日以降に契約される新規の契約者が対象です。無償となるのは『Sleep Doc』のApple Watch版の検査費用(1,500円)です。Apple Watchをお持ちでなく専用ウェアラブルデバイスの貸し出しが必要となる場合には、3,480円をご負担いただく必要があります。
プレスリリースはこちら(SBI損害保険株式会社 2024年5月27日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目したのは、自動車保険の法人契約者にウェアラブルデバイスを用いた睡眠障害リスク計測サービスを無償で提供するニュースです。
生命保険、医療保険などの契約者には、健康関連のサービスが付帯されることが多いです。このような保険契約者向けの付帯サービスとした健康サービスの内容は、各社、各サービスどこも同じで横並びといった印象です。
例えば、病気、疾病などに関して、電話で相談できるなどのサービスですが、保険の付帯サービスとしての健康サービスは、保険の裏側に隠れている印象が強く、せっかくの健康サービスなのに利用率が低い状況になってしまうケースが多いようです。
また、保険の付帯サービスしての健康サービスは、保険の給付に直接影響したり、保険料に影響するような保険会社はもちろん契約者双方への直接的なメリットが見えづらく、どちらかというと、契約者に対するいざという時、困った時のお守り的な存在で、顧客の不安に対しての備えを準備してますよという位置づけに過ぎない印象です。
しかし、今回のSBI損害保険が提供する自動車保険の法人契約者に対するウェアラブルデバイスを用いた睡眠障害リスク計測サービスは、自動車保険の付帯サービスとは異なり、対象者となる運転手、ドライバーに対して、睡眠による健康へのアプローチをしながら、運転手、ドライバーとしての関心ごとである、事故のリスクの低減にアプローチしている点が大きな特徴だと思います。
今回のサービスは、自動車保険の法人契約者ということで、一般の運転手、ドライバーではなく、おそらく職業ドライバーなどが対象者になってくると思います。
職業ドライバーにとって、目的が事故のリスクの低減というアプローチであれば、睡眠を切り口とした健康サービスに関しては、利用する、興味を示してくれる可能性は高まり、通常の保険に付帯した健康サービスとは全く異なる位置付けとして成立するのではと感じています。
今回の自動車保険に睡眠サービスを連動させた提供の仕組みは、保険の付帯サービスとしての健康サービスの提供以外にも、参考になりそうな気がしています。
ポイントは、対象者、利用者に対して、健康の切り口ではなく異なる目的と連携、連動させて健康サービスの必要性を提供することではないかと感じています。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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