『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“ 8月21日は「治療アプリの日」 高血圧治療および治療アプリに関する調査データを発表 ”
8月21日は「治療アプリの日」
高血圧治療および治療アプリに関する調査データを発表
医師および患者さんの9割近くが生活習慣修正の必要性を感じているが、
生活習慣指導が上手く行っていると感じている医師は4割未満
CureAppは、8月21日に制定した「治療アプリの日」にちなんで、今までに実施した医師および高血圧患者さんに対する高血圧治療および治療アプリについての調査データを解析し、発表いたします。
【調査サマリー】
高血圧治療における生活習慣修正について
■医師・患者さんともに9割近くが必要性を感じているが、臨床で上手くいっていると感じている医師は4割に満たない。その理由として「継続が難しい」ことが挙げられる。
薬物療法について
■薬物療法を実施している医師はおよそ9割。
■一方で、医師・患者さんともにおよそ5割が「薬に頼りがちである」「薬を飲んでも改善しない」などと、薬物療法に対して懸念を持っている
高血圧症治療アプリについて
■認知率は医師55.5%、高血圧患者さん12.1%
■治療意向としては、受けたいと思う患者さんは43%。一方で、医師が実際に処方しても良いと思う患者さんは14.8%であり、ギャップが生じている。
■処方するためのきっかけとして、医師「患者から求められることが増えたら」65.6%、高血圧患者さん「お医者さんからの勧めがあれば受けたい」51.6%であり、双方の思いはありつつもお互い言い出せていない状態だと推測される
プレスリリースはこちら(株式会社CureApp 2024年8月21日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目したのは医師および高血圧患者双方に対して、高血圧治療および治療アプリについての調査した結果についてのニュースです。
生活習慣病の一つである高血圧は、生活習慣が関連していることは多くの人々が認識している事実です。
特に、高血圧の患者であれば、生活習慣の改善が必要であることは認識されています。
今回の調査結果の中でも、約9割の患者が生活習慣修正の必要性を感じているのです。
しかし、やはり治療の領域でも、「継続」は大きな課題であり、約9割の患者が生活習慣修正の必要性を感じていながら、改善行動がうまくいっていないようで、治療を提供する側で医師の38.3%しか、自身の生活習慣指導がうまくいっていないと回答しているのです。
医師が生活習慣指導がうまくいっていない理由として挙げられているのが、患者さんのモチベーションが維持できない、患者の実生活が見えないなど、患者側の意識、モチベーションはもちろん、指導する医師側のアプローチにも課題が存在しているようにも見えてきます。
そのため、治療の中心は薬物療法になっているのが実情で、89.5%が薬物療法を実施している結果になっています。
今回の結果では、患者のほとんどは薬物治療を行なっている患者であるため、生活習慣病を発症している人達なのにも関わらず、生活習慣の改善行動の継続に課題を感じているのです。
健康リスクが高まれば、意識も高まり、その結果として改善行動への意欲も高まるという理想のシナリオを思い浮かべますが、実際には健康リスクが高まっても、意識や改善行動への意欲が高まらない、これまでの生活習慣を変えない、現状維持が心地よいと考える人達が多いのです。
だからこそ、生活習慣の改善が必要であることは認識していても、実際の生活習慣を変えるのではなく、薬物療法に頼ってしまっている傾向が強いのだと思います。
医師も患者も、薬物療法と生活習慣の改善の双方が必要性を感じています。
だからこそ、治療の現場での医師、患者双方にとって、生活習慣の改善に役立つサポート、アプリを含めたサービスの必要性を今回の調査データをみてあらためて強く感じました。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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