『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“ベビーブーム世代は、医療技術を新たなステージに押し上げる”
ベビーブーム世代は、確実に新しい技術を受け容れている。
Pew Internet Researchの2012年の調査によると、ベビーブーム世代の80%がインターネットを使い、46%がスマートフォンを使用し、さらにアプリのダウンロードにも慣れている。そのうち最大84%が、ヘルスケア情報の検索にインターネットを使用している。ベビーブーム世代が高齢化し、慢性疾患治療を含む健康問題に直面するため、テクノロジーはこれまで以上に早く成長し、変化することで対応しなければならない。
アメリカ合衆国退役軍人省が示すように、遠隔医療プログラムは利便性とコストの両方に影響を与えてきた。ビデオ会議とスマートモニターを含む「V.A.テレヘルスプログラム」により、入院率が35%減少した。入院患者においては、同プログラムにより病院で過ごす日数が59%削減された。これは全面的なコスト削減に繋がり、遠隔医療コーディネーターのAdam Darkins氏はワシントンポストに対し、「本プロジェクトでV.A.は全患者のために2,000ドル節約できる」と語った。
1. セルフサービスキオスク
空港、銀行、小売店では非常に一般的で、これらのキオスクがヘルスケアの現場に現われると、患者はそれを受け入れると思われる。Kaiser Permanenteは、南カリフォルニアにある60の診察所に90店舗のセルフサービスキオスクを導入し、患者の調査を行なった。結果は成功で、患者の75%は、キオスクは受付係のいるカウンターより早く済む、と答えた。
しかし、比較的新しいセルフサービスキオスクでもすでに微調整と変更が行なわれている。International Medical Solutions社の販売するモバイル患者コミュニケーターは、キオスクのすべての機能を備える代替要素となり、より軽く、パーソナライズされ、タブレットサイズで持ち運びやすい。
2. 「E-visits」
この世界ではほとんどなんでもインターネット経由で手に入るが、ヘルスケアはどうだろう? 「E-visits」により、患者は一般的な質問の答え、対面での訪問が必要なほど問題が深刻かどうかの助言、さらには簡単な症状の診断さえも入手できる。「E-visits」は定期的なオフィス訪問よりはるかに低コストで、その訪問は保険で補われる可能性がある。
3. ワイヤレスモニター
医師との連絡は、受付の呼び出しと予約が必要だった。今では、単にボタンをひとつかふたつ押すだけで済むかもしれない。血圧や心拍数からグルコース測定値まですべてを測定するモニターは、医療サービス提供者にリアルタイムで結果を送信できる。彼らはその後、数日間でも数週間でもなく、数時間以内に助言、または治療への変更が可能となる。より早い対応は、より良い健康と心の平和を意味する。
4. スマートホーム
ベビーブーム世代は自宅で年を取ることを望んでいるが、常に監視が必要な医療条件がある場合は難しい。解決法は、最新テクノロジーを備えた家で医療従事者との連絡を保つことである。スマートホームは、モーションセンサー、圧力感知タイル、生体サインなどを収集する、ワイヤーの繋がったベッドを備えている。これらの良い具体例が「Health-e-Chair」で、これは肺の音や血中酸素飽和度などの幅広い生体サインを収集できる。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目のニュースは「高齢者周辺のモバイルヘルス」に関する記事です。
米国のベビーブーム世代は、概ね1946~1959年までに生まれた世代を指すことが多いようですが、この世代の先頭は今年で68歳を迎えることになります。
日本に目を向けてみると、団塊の世代と呼ばれる人たちは第一次ベビーブームである1947~1949年に生まれた世代であり、先頭は今年で67歳になります。
米国のベビーブーム世代も日本の団塊の世代も、慢性疾患治療を含む健康問題に直面してくるため、医療費の面から考えてみても対策が急務な状況です。
そこで、注目されているのがモバイルを含めたITを活用した対策と技術の進化です。
上記のニュースでは、4つの具体的対策、活用が紹介されています。
このなかでも4番目の「スマートホーム」については、上記ニュースでは医療に関連した事例を紹介していますが、もう少し自立した高齢者と医療をつなぐ仕組みという方向性も考えられます。
「スマートホーム」と「ワイヤレスモニター」の組み合わせによって、独り暮らしの高齢者にとって自宅にいながら、医師を身近に感じた安心な生活が確保できます。
実現のためには、さらなるモバイルを含めた技術の進歩がポイントであり、米国のベビーブーム世代はもちろん、日本の団塊の世代の対策に間に合わせることが重要になってきます。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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