『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“adidas、miCoachのプラットフォームAPI公開に向けて”
現時点ではAPI公開についての正式発表はまだないが、その開発者用ツールによって、他のアプリから動作、計測、さらにはadidasのmiCoach製品からのコーチングデータについても統合できるようになりそうだ。
adidasは、開発者向けサイトで「ユーザーの持つリソースからmiCoach利用者が、トレーニングプランの管理、トレーニングデータの同期、プロフィール、トレーニング歴、チャレンジ、達成記録、イベント、その他の閲覧をどのように行なっているかという情報を得られる」と紹介している。
adidasは、手首装着式のアクティビティ―トラッカー『Fit Smart』を間もなく発売する(※オンラインショップでは先行販売中)。心拍数、カロリー、ペース、距離、歩幅を計測し、ランニングやトレーニング中に選手たちをサポートするようになっている。『Fit Smart』は、ユーザーがトレーニング中にデータを記録し、比較アプリでユーザーが目標を達成できるようなプランと戦略が提案される。ユーザーは、EXOS社(前身はAthlete Performance社)のコーチングサービスから作成されたトレーニングプランを基に、週間目標及び長期目標を設定できる。EXOS社監修により、adidasは『fit smart』ユーザーが自由にアクセスできる何百種類ものトレーニングプランを提供している。
「今までこの機器のすべてが非常に閉ざされたシステムだった」とイノベーション部門のQaizar Hassonjee次長はコメントした。「当社にあったのは、当社のアプリ、当社のプラットフォーム、当社のコーチングで動く機器であった。今では当社も十分コンテンツを積み上げたので、このプラットフォームをオープンにすることを検討している。当社の機器やそのユーザーについて当社よりもっと知識があって、もっと多くの情報をもたらしてくれる人たちとパートナーを組みたいと思っている。そうして、コンテンツを有効に使い、プラットフォームを構築して、ユーザーになにが起きていて、その人がたまたま病人であったり、健康になりたいと思っていたりするというような情報をシェアできるようにしたい。元気になりたい、健康になりたいという同じニーズを持つスポーツ以外の分野の人たちとどうやって一緒にやっていけるかを確かめたい」。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』8月20日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点
今回注目のニュースは“miCoachの今後の展開”についてです。
スポーツアパレル企業であるadidasは、Nikeと並び、以前からウェアラブル端末を商品ラインナップに加えていますが、Nikeのような一般ユーザーに近づいたアプローチではなく、競技ごとのトレーニングレベルを上げることに注力してきました。スポーツに対し、より真面目なアプローチです。
Nikeは『FuelBand』でサードパーティーにSDKを配布し、サービスの強化を図りました。一時期は話題になりましたが、サードパーティーが『FuelBand』を使ったマネタイズの成功例などの情報は、まだ聞かれません。どのようなコンテンツが提供されたか、あまり情報が入ってきていないので、Nikeの展開のよし悪しは言えませんが、少なくとも、miCoachの100を越えるトレーニングプランは、継続ドライバの観点からは利用率が高かったのではないかと思っています。
今回のニュースでadidasは、『Fit Smart』の発売と合わせ、外部連携を検討しているようです。Qaizar Hassonjee次長のコメントで「病人や、健康になりたい人まで幅を広げたいため、自社にないノウハウを持つ団体と連携したい」との考えているようです。
ユーザーにとって、外部連携によって選択の幅が広がるのはうれしいことです。ひとつしかないプランでは、自分に合っていなければそこで終わってしまいます。しかし、サービサー視点で考えると、はたして『Fit smart』を買うユーザーにスポーツのレベルアップではない、病気の改善、健康予防を目的とした人がいるのか? わざわざ専用のコンテンツを作ったのにユーザー不在では、商売は難しくなります。
モバイルヘルスにおいて“オープンな連携”は重要なキーワードではありますが、それぞれにとって、他ではない利点を明確にしていくことが重要になります。adidasが、Nikeとは違うアプローチをどう展開するのか、注目したいと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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