『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Samsung、S Healthを自社のスマートフォン以外にも拡大”
Samsungは、最新の『S Health』アプリの更新で、Galaxy S3をはじめとした同社すべてのスマートフォンのサポートを追加した。同社はまた、Android OS 4.4以降を搭載したSamsung製以外のスマートフォンへの対応を拡大した。同社は、タブレットならびに複数のモバイル機器はサポートされない旨の投稿を行なっているが、機種は特定していない。
2012年に発表された『S Health』を利用すると、サードパーティーのアプリやデバイス由来のデータを用いて、自身の健康状態を追跡できる。
同アプリにより、利用者は行動、運動、食事の追跡ができ、健康上の目標達成に役立つデジタルコーチングプログラムも提供される。『S Health』は、このデータを使用して利用者向けの健康情報の要約を作成する。目標を追加・削除したり、追跡したい値を選択することで『S Health』のダッシュボードを好みにカスタマイズ可能。同アプリストアの記述によると、『S Health』のダウンロード数は、5,000回から1億回の間である。
2014年初頭、Samsungは『S Health』のひとつのバージョンに対してFDA 510(k) を取得した、と発表した。同年のあるイベントで、Samsungの最高医務責任者であり、グローバル・ヘルスケア副部長David Rhew氏は、「FDA取得の理由は、『S Health』を医療機関や医師と連携しつつ、企業サイドで機能させること、ならびに、顧客運動アプリとして開始した『S Health』が慢性疾患、医療サイドにより進出していることである」と説明した。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』9月21日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
今回はSumsungのヘルスケアプロジェクト『S Health』に関するものです。
Sumsungがヘルスケアへの取り組みを開始したのは、Galaxy S3が発表された2012年です。当時はヨーロッパを中心に、オムロンヘルスケアなど、他社デバイスを接続したクラウドサービス(PHR)として『S Health』がスタートした、と記憶しています。その後、Galaxy S4が発表される際、米国で大々的に『S Health』が紹介され、自社製のフィットネストラッカーや体組成計がリリースされる予定であると発表されました。『S Health』のワールドワイド展開としては、Galaxyシリーズ搭載アプリとなり、自社フィットネストラッカーは発売せず(2014年にGear Fit発売)、スマートフォンからのデータ取得と他社デバイス連携により、取得したデータからサービサーにつなぐといったデータ連携サービスを行なってきました。
しかし、想定したほど利用が伸びなかったため、一時は『S Health』が終了するとの噂もありましたが、保険会社のCignaと提携し、デジタルコーチングプログラムをスタートし、医療分野へのアプローチが始まりました。この取り組みによる可能性が見えてきたため、今回新たにGalaxy以外の自社スマートフォン、さらにAndroid OS 4.4以降を搭載する他社への提供がスタートすることになったようです。
『S Health』は、自社で囲い込むためのコンテンツから、他社へ提供してまでも広めたい「サービス」へと成長してきた、と言えるでしょう。
今年1月には、Galaxy S6の最新モデルでヘルスセンサーを内蔵したケースなど、利用者向けの様々な機能を提供する取り替え可能な多数の特徴的なスマートフォンカバーが発売される、という噂があります。あるカバーはカメラ性能を向上させ、また別のカバーではe-ink画面を追加でき、さらにまた別のカバーでは『S Health』に直接アップロードする数種のグルコースメーターを追加する、と言われています。Sumsungのヘルスケア分野へより本格的なアプローチが期待されます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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