『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“HingeHealth、鎮痛ウェアラブルメーカーEnsoを買収”
デジタル筋骨格ケアにおけるユニコーン企業Hinge Healthは、非侵襲性神経電気刺激装置メーカーのEnso社を買収すると発表した。
Ensoの装置はユーザーの身体に粘着性ジェルパッドと共に取り付けられる。コンパニオンアプリのインターフェイスで作動させるとワイヤレス装置が高周波インパルス療法を送り、個人に合わせて刺激パターンを徐々に調整する。
商品ページによると、慢性痛を持つ平均的な人は、この充電式装置を丸一日分の疼痛緩和に日当たり約4時間使用する。首より上、妊娠中の人、深刻なてんかんがある人、あるいはいかなる種類の電子的インプラントを持つ人には使用できない。
「私たちは前例のない非侵襲性の痛み軽減装置を届けるため、Ensoの高周波インパルス技術の開発にほぼ10年を費やしました」EnsoのCEOであるShaun Rahimi氏は声明の中で語った。「Hinge Healthと一緒に、この技術を痛みの緩和を必要とする数百万の人々に提供するという私たちの元々の使命を前進させるのは非常に刺激的です」
Ensoは既に市場で入手可能で、買収に先立ち「数千人によって使用された」と代表は話した。
発表によると、Hinge Healthは雇用主クライアントに向け、この装置をデジタル筋骨格クリニックへの提供物の一部として組み合わせ、メンバーが自己負担費用なしで使用可能にする計画を立てている。Hinge Healthは、Ensoがサンフランシスコのカルフォルニア大学と共同で行った臨床試験を理由に、この提供物によって即時の痛み管理がもたらされると期待している。ここでは参加者の痛みが平均56%軽減したと報告されており、およそ9割が臨床的に有効だと報告した。
Hinge Healthいわく、Ensoは常習的なオピオイド疼痛治療の代替品を探している雇用主や医療保険制度へ付加価値をアピールする立場にある。商品ページによるとEnsoはすでに労働者災害補償保険会社や退役軍人病院も全国的にカバーしている。
記事原文はこちら(『mobihealthnews 』2021年3月9日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
現在米国では、腰や膝など関節の痛みを支援するサービスに注目が集まっています。その代表的プレイヤーが今回紹介するHinge Healthです。
腰痛などにアプローチしたセンサーは過去にも複数出てきましたが、どれも継続性に課題がありました。姿勢をチェックし注意するだけ。これですと、最初はよいですが、姿勢を正すだけでみるみる改善していってくれない限り、すぐに邪魔くさいツールになってしまいます。
Hinge Healthもセンサーを活用していますが、視点が行動の継続と、効果の実感に重きをおいています。導入時には、理学療法士との1対1のセッションを行い、対象者に合わせたやり方で、対象者が主体的に動けるよう支援しています。
今回のEnso買収は、対象者に合わせた対策の1つとなります。慢性痛は、日々のリハビリだけでは改善しきれず、日々痛みを気にし続けなければならない人も多くいます。そのような人には装着しているだけで痛みが緩和することができれば、次の改善行動にも目を向けられるようになるでしょう。
今後も関節痛の分野における動向は注目していきたいと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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