『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Otsuka PD&C、Holmuskと協力しbehavioural healthの研究にAIを活用”
ニュージャージー州に拠点を置くOtsuka Pharmaceutical Development &Commercialization社(OPDC)は、シンガポールとニューヨークに拠点を置くデータ科学・デジタルヘルス企業であるHolmusk社との3年間の共同事業に合意した。この事業は年間最大400万ドル相当の規模となる。
OPDCは、日本に拠点を置く大塚ホールディングスの子会社であり、大塚製薬の間接部門である。OPDCは医薬品や栄養補助食品を開発・製造し、世界で販売している。同社は精神疾患、腎疾患、心血管疾患治療のリーダー企業を目指し、腫瘍、結核、その他の世界的な公衆衛生上の問題となる疾患の研究を行っている。
Holmuskは、「behavioural health(行動保健学)」の研究、イノベーション、ケア推進のためのデジタルソリューションを構築している。自然言語処理や疾患予測モデルと組み合わせた独自の高度分析を用いるなど、行動保健学関連のデータを充実させている。
同社は、behavioural healthのためのリアルワールド・エビデンス・プラットフォーム『NeuroBlu』で知られており、分析ツールを用いたリアルワールドデータ(RWD)を統合してユーザーに見識や見通しを提供している。このプラットフォームは、50万人以上の患者と2,000万回以上の症例記録による20年分以上の臨床データセットを活用している。
OPDCとHolmuskは、複数のリアルワールドデータ・ソースにデータ分析とAIを適用し、満たされない患者ニーズと実世界におけるアウトカムの理解を深める予定である。
OPDCの副社長兼チーフ・メディカルオフィサーのChristoph Koenen博士は、「Holmuskはリアルワールド・エビデンスの世界的なリーダーであり、behavioural healthに関する独自のデータアセットを保有している。同社は今回の提携により、複雑な慢性疾患を抱えて苦しむ人々により良い解決策を提供できるようになる」と述べた。
Holmuskの創業者であるCEOのNawal Roy氏は、「OPDCとの提携は、大変喜ばしいことだ。”behavioural health関連の健康障害に苦しむ患者を支援する”というOPDCのコミットメントと情熱は、弊社の使命と一致している。OPDCの専門知識により、弊社は問題に正しく対処していることを確認し、デジタルアセットとアナリティクスアセットを最大限に活用することが出来る」と述べた。
記事原文はこちら(『mobihealthnews 』2021年7月8日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
今回取り上げたニュースのキーワードは「behavioural health(行動保健学)」です。今後登場する機会が多くなる名称なので、覚えておいてください。
「behavioural health(行動保健学)」とは、薬の飲み忘れを防ぐことや、治療と並行して行われる生活習慣改善などは、正しいことを正しく伝えただけでは行動に繋がらなかったり、行動が継続しなかったりしやすいものです。それを今までは専門職の感と経験からの指導で行動に繋げていましたが、個人のスキルに依存しない体系立てた共通のものにしようと言う学問です。
健康業界で重要視されてきた継続支援が、今、医療業界で注目のテーマとなってきていると言うことです。
デジタルセラピューティクスも、現在承認されているものが「行動継続を支援するもの」、つまり「behavioural health」が取り入れられています。
我々は行動支援技術を「継続ドライバ」と命名し研究してきました。健康ビジネスにおける「継続ドライバ」の多くの事例は、「behavioural health」に通づるものだと言えます。
今こそ、健康とか医療とかの垣根を取り払い、「behavioural health」=「継続ドライバ」と捉えてヘルスケア全体として継続支援のあり方を考えていくステージになったと言えるでしょう。
「継続ドライバ」については、日経XTECHでも紹介されましたのでご覧ください。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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