『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“ロボット説教師は信仰心と寄付を失うか?”
AIとロボットの進化は、宗教の領域にも波及している。例えば、京都の高台寺ではアンドロイド観音「マインダー」が祀られ、サラウンドサウンドやプロジェクションマッピングを活用して般若心経の説法が行われている。米国などの国際研究チームは「ロボットやAIによる説法が信仰心や寄付にどのような影響を及ぼすのか」を調査した。
この研究はJournal of Experimental Psychologyに掲載されており、3つの実験を扱っている。1つ目の実験では、高台寺で「マインダー」または「人間の僧侶」から説法を聞く被験者に対して1,000円を与え、100円単位で任意のお布施を求めた。結果として、マインダーからの説法を受けた群は、人間の僧侶からの説法を受けた群よりもお布施の額が少なく、また、マインダーに対する信頼度も人間の僧侶より低かった。
2つ目の実験では、シンガポールの道教寺院で「人間の道士」から説教を受けた群と、人型ロボット「ペッパー」から説教を受けた群との比較を行った。ここでも1つ目の実験と同様、ロボットによる説教を受けた群は信頼度が低く、寄付額も少なかった。
3つ目の実験では、米国のキリスト教徒がオンラインで説教を読む際、その説教が「人間の宣教師が記した」と伝えられた群と、「高度に発達したAIが記した」と伝えられた群とで比較した。その結果、AIによる説教と伝えられた群の信頼度はやはり低かったことが示されている。
記事原文はこちら(『The Medical AI Times』2023年7月27日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
発達する科学は、すべてにおいて今までを上回った信頼、金銭的価値を得られるか?を検証するために宗教をテーマに行った実験です。
以前取り上げた記事『注目ニュース:「会話へのAI利用」がもたらす影響』と共通するテーマと言えます。
今回取り上げたのは、人とロボットやAIでは同じように説法が行われた場合の評価です。多くの方が予測したと思いますが、当然人の方が信頼度は高まります。
これはテーマによっては、機能だけで優劣はつかないと言えることを証明しているのだと思います。
同じ説法でも、人なら誰でもよいかと言うとそんなことはなく、説法する人がピエロの格好をして、ふざけた感じで説法したなら、やはり信頼には値しないでしょう。
説法をありがたく、尊いものとして聞けるのは、話す人の “イメージ” も大きく影響します。
例え知らないお坊さんであっても、袈裟を着て、威厳を感じる佇まいを見れば、聞き手としては、しっかりと説法を聞こうとの気持ちになるのではないでしょうか!?
さて、ヘルスケアではいかがでしょうか?
もちろん、ヘルスケアの中でもテーマによっては違いはあります。体の不安を解決したいのか?楽しく体を使うものか?で見せ方は変わってくるはずです。テーマにあった入口が必要なのです。
今後のヘルスケアにおいて、AIなど最先端のテクノロジーは率先して使うべきと思います。ただし、テクノロジーを活かすためには、対象者とどう関係を作っていくと、より信頼感を持ってもらえるのか?そのための演出、イメージ作りは最大限に必要な要素になってくるでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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