『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“デジタル高血圧ソリューションはどこにでもあるが、どれが本当に結果を改善し、コストを削減するのか?”
高血圧症のデジタルソリューションは数多く登場しており、表面上は病気の管理やコスト管理に役立つとされているが、それらは本当に臨床的にも経済的にも効果があるのだろうか?
Peterson Health Technology Institute(PHTI)がデジタルヘルスソリューションを分析する3回目のレポートで明らかにしようとした。この組織は、近年急増しているデジタルヘルス企業について、切望されていた証拠を提供することを目標に昨年設立された。
以前の2つのレポートとは異なり、新たな高血圧ソリューションに関するレポートでは、さまざまな結果が出ている。投薬管理会社は長期的なコスト削減により臨床的に意義のある成果を上げていることがわかった。しかし、血圧モニタリング会社と行動変容ソリューションはそれほど効果的ではないこともわかった。
購入者は高血圧に関連するコストを抑える方法を常に模索しているため、このレポートは購入者がどのソリューションに投資すべきかのヒントを提供することができる。
PHTIは高血圧ソリューションに関する分析を行うために、2,498件の論文をレビューした。そのうち31件は分析対象となった企業から提出されたものだった。合計で3つのカテゴリにまたがる11社を調査した。
・血圧モニタリング(在宅モニタリングを提供し、データを医療提供者に提供する企業):AMC Health、Health Recovery Solutions、VitalSight
・投薬管理(患者のプライマリケアチームを補うために仮想ケアチームを提供し、投薬調整を提供する企業):Cadence、Ochsner、Digital Medicine、Story Health
・行動変容(教育コンテンツ、アラート、リマインダー、コーチ、ケアチームを提供する企業):Dario、Hello Heart、Lark、Omada、Teladoc
臨床的メリットを調べたところ、血圧モニタリング企業では、通常のケアと比較して収縮期血圧が「わずかに低下するが、臨床的に意味のあるものではない」ことを発見した。投薬管理ソリューションでは、通常のケアと比較して収縮期血圧がより「急速に低下」したため、より臨床的に意味のある結果が得られた。行動変容企業では、収縮期血圧の「段階的な低下は限定的」だった。しかし、これらのソリューションは公平性のギャップを埋めるのに役立つ可能性があるとレポートは指摘している。
経済面では、血圧モニタリングアプローチによる節約は、現時点では遠隔患者モニタリングの償還に関連する医療費の増加を相殺するものではなかった。投薬管理は最初の3年間はコストを増加させるが、心血管イベントを防ぐことで長期的な節約につながる可能性がある。行動変容ソリューションは安価だが、コストを正当化するほどの健康改善は実現していなかった。
「この投薬管理ソリューションのアイデアは、アクセスを拡大するという意味でも非常に興味深いと思います」と、PHTI のエグゼクティブ ディレクターであるCaroline Pearson氏はインタビューで述べています。「プライマリケアの診療は忙しいため、4~6週間ごとに患者を呼び戻して投薬調整を行うのは非常に困難です。プライマリケア医として、こうしたデジタル企業の 1 つと提携して投薬調整の一部を支援してもらうという考えは、デジタルソリューションの非常に魅力的な活用方法だと思います」
記事原文はこちら(『MedCity News』2024年10月31日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
高血圧の改善に投薬管理に代わり、デジタルソリューションが役立つのかを分析したレポートです。
上記掲載の続きがあり、ソリューションが効果的でないと指摘された企業からのコメントがあったりと、興味深い内容ですのでぜひ記事原文もチェックしてください。
分析結果を見ると、やはり現状ではデジタルソリューションで管理さえすれば投薬管理の必要がないというものではないことがわかりました。
私は、そもそも高血圧改善がデジタルソリューションだけでできるとは考えておらず、投薬管理にプラスして生活習慣改善をすることで、よりよい状態(ステージを進みにくくしたり、改善したりする)にするものと思っていましたので、デジタルソリューションに置き換えようというのは、薬代が高い米国ならではの発想なのかもしれません。
今回の分析で、デジタルソリューションがダメとなったのではなく、役割があることが明確になったのだと思います。
投薬もステージが進めば、医療費がより高額にもなっていく可能性がありますので、デジタルソリューションが貢献できることも多くあります。
対象者それぞれにあった組合せを、うまく提供、管理できるのが望ましいでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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