『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“ハマると歩きまわって健康になってしまう!?世界規模の陣取りゲームGoogle『Ingress』”
先日、iOS版がリリースされたことで筆者の周りでも始める方が続出しているGoogleの『Ingress』。
謎のエネルギーである「エキゾチック・マター(XM)」が発見され、それをめぐり緑の「エンライテンド(覚醒者)」と青の「レジスタンス(抵抗勢力)」に別れて人類が世界規模で”陣取りゲーム”を行なうというもの。まずはアプリをインストールし緑か青のどちらの陣営に入るかを選ぶ。そして、あちこちにある「ポータル(Portal)」をHackするところから始めるのであるが、実際に現実の世界にあるポータルを探して移動することになるので、ハマるとかなりの距離を歩いたり自転車に乗ったりすることになり健康になってしまうかもしれない恐ろしいゲームである。
始めた当初はイマイチ何をすればいいかよくわからないかもしれないが、レベルが上がるにつれポータルに「レゾネイター」という装置を設置したり、敵側のポータルを攻撃したり、ポータルをリンクさせたり出来るようになってくると格段に面白くなってくる。1日に平気で数キロ、十数キロとか歩きまわるようになってくることうけあいである。ああ恐ろしい。
興味のある方、始めてみてはいかがだろう。
記事原文はこちら(『ガジェット通信』7月25日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目のニュースは関するGoogleの『Ingress』に関する記事です。
『Ingress』は世界規模の陣取りゲームです。
ゲーミフィケーション要素を取り入れたヘルスケアプローチはまったくなく、純粋なゲームです。
しかし、ゲームといってもスマホのなかのバーチャルな世界だけではなく、リアルな現実の世界にある場所(ポータル)を探して取り合うというリアルの世界が連動している点が、一般的なゲームと少々異なる点だと思います。
携帯やスマホの位置情報をもとに陣地、場所を取り合うゲームはこれまでにもありましたが、これらのゲームに関してもヘルスケアという領域との連携、連動はなかったように思います。
今回の記事にもあるように、リアルな世界との連動、特に今回のようなリアルな場所と連動したゲームでは、ゲームにハマることで知らないうちに歩いていたり動いていたということが発生します。
これこそが、前回の注目ニュースで編集委員の渡辺が述べていた
『ゲームを楽しんでいたら目的が達成された = 目的の手段化』
という世界感なのです。
ヘルスケアという視点でアプローチすると、どうしても「健康になるためにゲームをしましょう!」という「楽しい」要素が見えてきません。
しかし、今回のGoogleの『Ingress』はゲームを純粋に楽しむことで、結果的にいままで以上に歩いていた、という状況を作り出しています。 Googleはこのゲームを通して、いままで以上に歩いてもらおうなどといった戦略はまったくなかったと思いますが、このように目的や視点を変えることで、行動を連動させるは可能なのです。
「健康のために隣の駅まで歩きましょう!」と「隣の駅をHackするとパワーアップ」では、「隣の駅まで歩く」というの結果は一緒でも、目的がまったく異なるので「やる気」も違ってくるのです。
やはりヘルスケアの、特に予防領域では健康を「目的」に据えたサービス設計ではなく、別の目的を据える必要があることを強く感じています。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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