『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“伊藤忠テクノソリューションズ、「Fitbit」を活用し、健康経営を支援するソリューションを強化”
ヘルスケアソリューション「ウェルネス ワークスタイル」と連携し、ITで健康経営を支援
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下:CTC)は、Fitbit, Inc.(以下:Fitbit社)が提供するウェアラブル活動量計「Fitbit」の法人向け販売を本日より開始します。CTCが推進している健康経営をITで支援するソリューション「ウェルネス ワークスタイル」のラインアップとして提供し、企業の管理者によるデータ収集・分析機能を含めた企業向けサービスを開発中です。B2B2Eビジネスを拡大させ、企業や健康保険組合を対象に3年間で10万ユーザーへの提供を目指します。
健康経営に対する企業の関心は年々高まっており、各企業は従業員の健康増進による収益性や企業価値の向上を目指しています。
Fitbitは、歩行数、心拍数、睡眠時間、食事、消費カロリーなどのデータを取得し、スマートフォンやPCで自己管理できるリストバンド型および携帯型のウェアラブル活動量計です。従来は主に個人向けに利用されてきましたが、健康経営
プレスリリースはこちら(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、2016年11月30日発表)
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『mHealth Watch』の視点!
今回の注目ニュースは、「Fitbit」を活用し、健康経営を支援するソリューションサービスの強化というニュースです。
「Fitbit」などのウェアラブル端末を活用したBtoB向けのサービス、ソリューション提供がここ最近多くなってきました。前回の注目ニュースでご紹介したのは、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命とFitbit, Incが連動し、「Fitbit」を保険契約者に配布してデータを収集し、ゆくゆくは保険料に反映させるといった展開もそのひとつの流れです。
今回の注目ニュースで取り上げている伊藤忠テクノソリューションズの「Fitbit」の活用では、健康経営のためのソリューション強化のひとつとして、従業員の健康意識向上や健康状態を可視化・分析に役立てる、としています。
すでに健康経営に向けたB2B2E(法人対法人対従業員のサービス)向けのソリューション、サービスが数多く提供されていますが、そのサービスの多くはB2B中心の視点でサービス提供がされていて、実際に使う人であろうE(従業員)の視点が抜け落ちていると感じます。
ウェアラブルを活用することで日々のデータを数多く収集して一元管理が可能になりますが、これは提供側であるB2Bの視点であって、利用者であるE(従業員)には魅力的とは言えません。
また、前回の注目ニュースでもコメントしましたが、データを集めるためには利用者に継続して使ってもらうことが不可欠です。ウェアラブル端末を提供すれば継続して使ってもらえるといった簡単なサービスではないのが、ヘルスケアサービスの実態です。
さらに、ウェアラブル端末を使ってもらう前段階には、利用者であるE(従業員)が使ってみたいと自ら手を挙げて参加してもらうための高いハードルが存在しているのです。
すでに健康意識が高いE(従業員)にとっては、ウェアラブル端末が活用できるのは魅力的に映ると思いますが、健康意識が高いE(従業員)の数は少なく、E(従業員)の大半を占めるのは健康意識が低い、健康には興味関心が低い人達なのです。
この健康意識が低く健康に対しても興味関心が低いE(従業員)をどう動かせるかが、健康経営にとっては重要です。健康意識が低く健康に対しても興味関心が低い人達に向けて、興味関心を与え自ら手を挙げて参加してもらうための「ヘルスプロモーション」の仕掛けが、B2B2E(法人対法人対従業員のサービス)向けのソリューションではもっとも重要な要素であると感じています。
ウェラブル端末の活用は、ひとつの要素であってウェラブル端末がすべてを解決してくれる魔法の玉手箱にはなり得ません。やはり、利用者視点、顧客目線での「ヘルスプロモーション」をとことん追求したサービスこそが、使ってもらえるサービスとして残っていくのだろうと思います。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。食コンディショニングアドバイザー。
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