『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“『スポーツライフ に関する調査(スポーツライフ・データ)2020』
週1 回以上の運動・スポーツ実施率は、調査開始以来最高の 59.5%
コロナ禍の影響か―18~29 歳が行う運動・スポーツの種目に変化 ”
スポーツ・フォー・エブリワンを推進する笹川スポーツ財団では、1992年から隔年で『スポーツライフ に関する調査(スポーツライフ・データ)』を実施しています。全国の18歳以上を調査対象に、頻度・時間・運動強度からみた SSF独自の指標である「運動・スポーツ実施レベル」をはじめ、スポーツ観戦率やスポーツボランティア実施率、スポーツクラブ加入率、好きなスポーツ選手の推移など、国内のスポーツライフの現状を明らかにしてきました。
本調査の特徴は、調査対象の年齢や生活環境の偏りを防ぐため、全国300地点より年齢別の人口構成比に近似するようサンプルを抽出している点にあります(割当法)。加えて実際の調査では、調査員が各世帯を訪問し調査票を配布。その後再度訪問し調査票を回収する「訪問留置法による質問紙調査」を、3,000サンプルに達するまで行っております。
最新報告書『スポーツライフ・データ 2020』は2021年3月31日に発売いたしました。1992年より、スポーツの「する」「みる」「ささえる」を調査していますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が、スポーツ活動にも少なからず影響を及ぼした結果となっています。
調査結果のポイント
1.【する】 週1回以上の運動・スポーツ実施率が、調査開始以来最高の 59.5%。
2.【する】18・19歳および20歳代において種目別運動・スポーツ実施率が大きく変動。
「筋力トレーニング」 「散歩」 「ウォーキング」において2018年調査より大幅な増加。
3.【みる】 直接スポーツ観戦率の上位 10 種目すべて、2018年調査と比較し観戦率が低下。
4.【ささえる】 スポーツボランティア実施者の割合は5.3%、調査開始以来最も低い割合。
【担当者コメント】
1992年に開始した隔年実施の本調査は、今回の2020年調査で15回目となる。今回は「みる」「ささえる」の数値が前回調査から大幅に減少したものの、「する」では上昇傾向が認められた。週1回以上の運動・スポーツ実施率は 59.5%(前回比:1.6ポイント増)、週2回以上は49.9%(前回比:2.1ポイント増)となり、ともに調査開始以来の最高値を記録した。
背景としては、健康増進の時流に乗ったこれまでの上昇傾向に加えて、コロナ禍で身近な場所や一人でもできる運動・スポーツがより支持された点が指摘できる。一方で、チームスポーツの実施率は伸び悩み、施設利用の制限等の影響を受けた種目もみられる。運動量のみならず、質の観点からもスポーツライフの豊かさをどのように担保するかが今後の課題といえる。今後はスポーツ実施率とともに日常の身体活動の動向にも着目し、人々が長くアクティブに生きられる社会の実現に資する資料を提供したい。
【笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策オフィサー 宮本幸子】
プレスリリースはこちら(公益財団法人 笹川スポーツ財団、2021年6月25日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、笹川スポーツ財団が2年に1回実施している「スポーツライフ に関する調査」に関してのニュースです。
今回発表した『スポーツライフ に関する調査(スポーツライフ・データ)2020』の調査時期としては、2020年8月28日~9月23日ということで、緊急事態宣言下ではなかったものの、コロナ禍の真っ只中だったので、コロナ禍の状況の中での運動、スポーツの実施状況が反映されています。
今回の調査データの中で特に注目したいのは、週1回以上の運動・スポーツの実施率が過去最高のは59.5%に上昇している点と10代後半から20歳代の筋力トレーニングの実施率が大幅に増加している点です。
コロナ禍という状況の中、週1回以上の運動・スポーツの実施率が過去最高のは59.5%に上昇している点については、ステイホーム、テレワークという状況の中で運動不足を認識して、動画などを活用して自宅で手軽にできる、一人でもできる運動・スポーツの実施が高まったことが考えられます。また、コロナ禍になって、運動、スポーツの動画やオンライでのコンテンツなどが数多く提供されたことも影響していると思われます。
18歳、19歳から20歳代の筋力トレーニングの実施率が大幅に増加している点については、コロナ禍でスポーツ施設の閉鎖や自粛など実施する環境面でのマイナス要因があったにも関わらず実施率が上昇している点についても、自宅での筋力トレーニングの動画などのコンテンツ提供の増加が大きく影響しているのだと思います。
また、若い世代にとっての筋力トレーニングによる格好イイ身体への憧れ、意識の高まりが、今回の調査の筋力トレーニングの実施率の上昇に関係しています。
若い世代の筋力トレーニングの実施率の上昇は、「健康」が目的ではなく「見た目の格好良さ」など「健康」以外の動機が確実に影響しているのです。
今回の「スポーツライフに関する調査」で上昇した実施率で、週1回以上の運動・スポーツの実施率と10代後半から20歳代の筋力トレーニングの実施率は、今後アフターコロナで、実施率が維持もくは上昇するのか、それともコロナ以前の実施率に後戻りするのかが気になるところです。
私の予想としては、10代後半から20歳代の筋力トレーニングの実施率は、このままアフターコロナでも維持もしくは上昇するではないかと考えています。
その理由は、やはり「見た目の格好良さ」など「健康」以外の動機が確実に存在しているからです。
次の2年後に発表される『スポーツライフに関する調査(スポーツライフ・データ)』の実施率の結果がいまから楽しみです。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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