『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“聴覚障害者との会話を実現!音声認識技術を駆使したコミュニケーションアプリ『BeWarned』”
今回ご紹介するのは、聴覚障害者のために開発された『BeWarned』。音声認識技術を駆使して、意思疎通ができる、手軽なコミュニケーションアプリだ。
本アプリの最大の功労は、聴覚障害者と健常者、さらに聴覚障害者同士の交流を実現したところにある。
創業者の1人、Vitaliy Potapchuk氏も、幼少期から難聴だった。外出先で自分の意志を伝えるのに、多大な苦労をしてきた彼は、素早く確実に質問や答えを出せる方法を、探し続けてきたという。その結果、完成したのがこの『BeWarned』なのだ。
使い方は、簡単。まず、アプリを立ち上げ、テキストに自分の言いたいことを打ち込んでいく。打った内容は、音声となって相手に伝わる。相手から答えがほしいときは、アプリに向かってしゃべってもらう。すると、今度はそれがテキストとなって、画面に表示される。
対応言語は、英語、ロシア語、ウクライナ語。インターネットに接続する携帯電話であれば、機種を問わず利用できる。
記事原文はこちら(『TECHABLE』2017年2月3日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点
海外では障害者向けの支援をモバイルヘルスを活用した事例が増えてきています。mHealth Watchでも何度か取り上げてきました。
<過去の記事>
視覚障害者向けの顔認識白杖『XploR』
Novartis、視覚障害者のたmwのスマートウォッチ・ナビゲーションアプリを提供
視覚障害者に“舌で見る”機器、FDAが承認
聴覚障害者をサポート〜メガネに装着するウェアラブル『LTCCS』〜
視覚障害者をサポート!追跡ガジェット『Sunu』
トヨタ、視覚障害者用デバイス『Project BLAID』を開発
今回紹介する『BeWarned』が優れているのは、特別なデバイスを必要とせず、アプリのみで対応できる点と、障害者自身がこのアプリを持っていなかったとしても、支援する人がこのアプリを自分のスマホに入れておけば、聴覚障害者とすぐにコミュニケーションが取れる点です。
しかし、このようなサービスをビジネスとして考えてしまうと、利用数がそれほど見込めないことから、なかなか着手できないと思われることがあるようですが、例えば『BeWarned』の技術のベースとなるのは、録音したことをテキスト化することになりますので、「議事録機能」の延長にあるといえます。
普段健常者が便利に使えている機能を少しアレンジするだけで、障害者の方には、かなり便利なツールになることがあるのです。
今あるものを活用して社会貢献に役立てる。
このような発想であれば、ハードルも低くなると思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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