『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“患者エンゲージメントの増加”
世界中の医療施設や健康管理機構により、試験的に運用されているmHealthには多くの活用方法がある。試験の結果、全体的にmHealthソリューションの提供によりプラスの効果が得られることがわかってきた。
最近行なわれた調査で、テキストメッセージ(携帯電話のメッセージ)や薬服、病院予約のリマインダー機能の利用が、特に将来有望であることが明らかになっている。
モンテフィオーレ医療センター(MMC)の行動科学調査部は、67人の患者を担当するケアマネージャー15人を対象に試験調査を実施した。テキストメッセージがプライマリーケアの患者とその介護担当者に送信され、結果は次のようになった。
- 予約診療への出席率が40%増加
- 服薬に関する決まりの順守が12%増加
- ヘルスケア計画の目標達成が7%増加
すべての患者はMMCの医療保障ヘルスホームの一員であり、その一部は社会的に恵まれない層の人々だった。当初、テキストメッセージは無機質で人間味がないのでは、いう懸念があったが、試験プログラムは患者やケアマネージャーに好評を博した。多くの人にとって携帯メールが日々のコミュニケーションの一般的な形となったためとみられる。
行動科学調査部のDonald A. Bux博士は、記者発表で「目標はモバイル技術が、病院の患者により一環した効率の高いサポートや質の高いケアを提供できるよう、ケアマネージャーをサポートできるかどうかを理解すること」と表明している。
テキストメッセージによるサポートで、患者が治療により積極的に関わることができ、患者に日々のリマインダーやサポートが提供できるようになる。調査が予想以上に成功したことを受けて、Sense Healthは他の医療機関と提携して同様のmHealthテキストサポートプログラムの実施を計画している。
記事原文はこちら(『mHealthWatch』7月14日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点
今回注目のニュースは“患者エンゲージメントの増加”についてです。
ウェアラブルやスマートフォンアプリの登場により、健康行動に取り組む人が増えていることは皆さんもご存知でしょう。北米圏を中心にムーブメント化したことで、今まででは考えられないほど、多くのウェアラブルデバイスが巷に溢れています。
しかし、mHealthの勢いをしてもクリアできない壁があります。健康ビジネスの最大の課題である「どうやって続けてもらうか?」継続させるための仕組みです。このテーマはとても重要なので、今までにも何度か取り上げてきました。
市場調査:スマホユーザーの80%がモバイル経由で医師との対話を望む
患者の多くは電子メールを提供する医師を好む
注目ニュース:ヘルスケアのコミュニケーションツール
上記の記事は、過去掲載したものの一部です。この3つの記事は、今回の記事とかなり近い内容だと思っています。
どれも医療サイドからのアプローチが効果を出している、というもので、特に担当医からの直接のアプローチを好む傾向があります。これは目覚まし時計のように、機械的にお知らせがくるのではなく、特定の人に見守ってもらえている感覚を得られているのが大きいのではないでしょうか。
もう1点、アプローチツールは普段使っているEメールやSNSが好まれます。普段あまり使わないアプリをわざわざ立ち上げないと得られない情報では、見過ごされるリスクもあります。
このようにエンゲージメント増加には、いくつかポイントが見えてきています。我々もひとつの手法をコンテンツ化してみました。ご興味ある方はご覧ください。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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